二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:    カタストロフィーは永遠に、   〈inzm〉 ( No.18 )
日時: 2012/01/19 20:45
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(6)







廊下に歩を進める二人。

膨れっ面の結祈に、呆れ顔の南雲。







          「もういい、帰る。」
      「……お前どこまで幼稚なんだよ。」





    神原結祈、十四歳。






                  絶賛不機嫌加速中。





「だって、此処広すぎるって。しかも誰も居ないとか何なの!」



“此処は城かッ!!”と叫ぶ声も広く長い廊下に消える。

右も左も扉、扉、扉。
延々と続く赤いカーペットの廊下は終わりが見えない。


「つーか晴矢って宙天の“紅炎の軌跡”の団長でしょ?同じハルモニアの支部だかなんだかで、よく陽雷に来るんじゃないの?」

不機嫌の矛先を南雲に向ける。

「だからってこんな馬鹿みたいにでかいとこの何処に何があるかなんて知らねーよ!!」
「は?え、何。結局役立たずなの?」



振り回す方も振り回す方だが、



「あ?さっきからお前俺のことなんだと思ってんだ!」
「え?……チューリップですけどなにか?」
「てめぇ……!」



振り回される方も振り回される方である。

























 「……なんか、煩くない?」


突如ヒロトが声を発した。
薄ら微笑みを称えた彼は会議室の入り口付近に目をやる。

「え?そんなわけないわよ、だって今の時間は皆仕事に行って……。」

答えを返した夏未の言葉は続かない。

なぜなら————





「そんなの僕のせいじゃない!!反論した晴矢が悪いでしょ!」
「は?そう言うのを理不尽って言うんだよ!」
「煩い!チューリップのくせに!」
「チューリップじゃねえって言ってんだろーが!!」



と言う聞きなれた二つの喚き声と、力いっぱい扉を開け閉めする音が耳に届いた、届いてしまったからだった。













「……ホントに元気だね、あの二人。」
「煩すぎて頭が痛いのは私だけかしらね。」
「いや、それが正常かと。」
「全く……。」







はぁ、と四つのため息が静かな部屋の中で重なった。


「あんなのと幼馴染なんてラティアも大変だね。」
「それ、そっくりそのままヒロトに返すわ。」


エメラルドグリーンの少女、もといラティアは結祈を。
ヒロトは南雲を脳裏に浮かべる。






さらに大きなため息が部屋に響いたことは言うまでもない。