二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:    カタストロフィーは永遠に、   〈inzm〉 ( No.5 )
日時: 2012/01/15 11:50
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

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 「はぁ?世界終末……何?」
「……“世界終末伝説記”。何百年も前の伝記よ。」
「そんなの見てないで仕事しろよ永恋。」
「いいじゃん、どうせ今の時間は客もいないし。」






情報屋兼喫茶店“夢月夜行”。四人の人物が経営する小さいながらも結構有名な小店舗である。


「客がいなくても店員はしっかり働けサボり魔どもが。」


店内を掃除しながら言う少年————というより店長。


“天咲 奏始”、店全ての雑務をこなす働き者。
そんな彼の耳には「客もなにも今朝の五時なんだけど。」とあくびをしつついう少女の声は届かない。ただ赤い目を光らして汚れやホコリと戦っているだけである。



「奏始さぁ……絶対人生ムダに過ごしてるよな。」
「……僕もそう思う。だって毎朝五時に起きて掃除とか……ねぇ。」


カウンター席に座り奏始を哀れそうな目で見る二人は“落妖 誓許”と“神原 結祈”。


いずれも広い情報網を持つ店員で店番をサボったり、客に喧嘩を売ったりと問題を起こしては日々店長の鉄拳をくらっている。

そしてグダグダと話す二人の近くで床に座り込み分厚い伝記を読んでいるのは“花園 永恋”。
この店名物のブレンドティーを作っている副店長。前の二人程ではないが問題を起こすこともしばしば。





 そんな四人で構成されているこの店。

開店時間は朝六時。
開店当初は早すぎる、と文句を言っていた店員達も今はそんなことを言う暇は無いと自覚しているようで

「うわ、もう六時!?早ッ!!」
「僕のエプロンどっかいったー!!」
「結祈のエプロンはあの椅子の上!!」
「あ、奏始ナイス!!」

ドタバタしているとカタリと音を立てて入り口が開く。それと同時に店内に飛ぶ四つの声。

「「「「いらっしゃいませ!!」」」」

各々返事をしながら席に着いた二人の少年。。

一人は水色、もう一人は銀とも灰ともとれる色の髪。








いつもどおりの風景、


「あ、なんだオマエらかよ。」
「……悪かったな俺達で。」





いつもどおりの客


「誓許、お客様は神様だ。たとえ煩くて腹が立とうともな。」
「ちょ、天咲君何がいいたいの?」





いつもどおりの店員


「……僕ちょっと遊びに行ってくるー!!」
「結祈、お前店員。……それと逃げるならオレもつれてけ!!」
「誰が逃がすか馬鹿共が。」





        今日もいたって平凡な一日の始まり。





        夜が明け朝日が世界を照らすように、

         人が生まれいずれ死ぬように、

        出会いのあとには別れがあるように、






    ただただ世界はそのことわりとともに回遊をする。






        神が居ようが居まいがそれは変わることのない暗黙の了解。


時計の針は一定方向にしか進まない、当然であり必然。












       「さあ、終わりをはじめようか。」




     差し出す手には何も無くとも、青年は笑う。