二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【薄桜鬼】 冬の桜 ( No.10 )
日時: 2012/01/18 19:12
名前: 雛苺 (ID: X9g0Xy3m)
参照: 元・悪魔ビビでございます。

 第3話

 キィン-------------

 平「うおっ!!」
 昴「・・・おいてめぇら何してやがる」

 藤堂の刀を弾いたのは伊織ではなく昴だった。しかし、藤堂の刀を弾いたのはいつもの鎌ではなく普通の刀、昴の愛刀---夜叉桜だった。

 伊「昴」
 昴「ったくなにやってんだよお前は」
 伊「ごめん」
 昴「ん」

 二人のやりとりを呆然と眺める幹部たち。しかし土方はハッとしたように目を開く。

 土「千鶴!下がってろ!!」
 千「は、はいっ!」
 
 土方は自分の後ろに隠すように1人の少年を引き寄せ刀を昴に向ける。

 昴「よぉ新撰組幹部の諸君」
 土「ふざけてんのか・・・」
 昴「別に?」

 昴はおどけたように肩をすくめる。しかし、その目は冷たい光を放っていた。

 土「うらぁっ!!」
 原「このっ!!」

 土方と原田が一気に二人に斬りかかる。しかし、昴はそれを軽々と払った。その勢いで土方の手から刀がすっぽ抜け、まっすぐ伊織めがけて飛んでいく。

 土「っ!!」
 昴「伊織っ!!」
 伊「え・・・?」

 昴の頭上を越えて現れた刀に反応が遅れる。土方の刀は伊織の左目に華を咲かせた。

 伊「ッ--------------------------!!!」

 伊織は左目を押さえ声にならない悲鳴を上げた。
 
 昴「伊織ぃぃぃぃ!!」

 左目を押さえうずくまる伊織に昴は駆け寄る。痛みに顔をゆがませながら伊織は昴を見上げ--------------------小さく微笑んだ。その微笑みはまるで唯一の家族に”大丈夫”と言っているようにも見えた。
 伊織は崩れ落ちるようにして意識を手放した。伊織の身体を地面に付く前に支える。そして、静かに静かに土方を振り返る。

 昴「てめぇ・・絶対に覚えておけよ・・・」

 昴はそのまま姿を消した。まるで其処には初めから何も居なかったかのように。伊織の身体が音を立てて地面に倒れる。
 
 斎「副長・・いかが致しましょう」
 土「・・・屯所へ連れて帰るぞ」
 斎「はっ」