二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【薄桜鬼】 死神少女と約束の桜 コメ・友達募集中! ( No.72 )
- 日時: 2012/02/03 19:28
- 名前: 雛苺 (ID: X9g0Xy3m)
- 参照: カフェオレよりミルクティー派!
第23話
「伊織ー。今日も土方来んのかー?」
昴の問いに伊織は笑顔で答える。伊織の精神が幼くなってから早一週間。伊織と土方の距離は瞬く間に近くなっていった。精神が幼い分、伊織は純粋だ。それ故に、今まで抱いていた感情を今の伊織は持っていない。
「------------------そんなに近くなっちまったら後で後悔するぞ」
「ん?すばる、なにー?」
きょとんと首を傾げる伊織の頭を優しく撫で、昴は微笑んだ。この先にどんな出来事が待っていようとも、それは伊織にとって苦痛の選択にしかならないだろう。昴はそれが辛くてたまらないのだ。この子--------------大切な妹にとっての苦痛が昴が何よりも恨むものだった。
「としちゃん!!」
「よぉ」
部屋に入った途端に無邪気な笑顔で近づいてくる伊織に土方は癒されていた。今まで女の笑顔に癒される事なんてなかった。いつでも女の笑顔の裏には”計算”があり、どこか偽物めいた笑みだった。だが伊織の笑みには其れがない。そんな純粋な笑みが土方の疲れた心を癒していく。
「あのね、あのね、すばるがね・・・」
「あぁ」
一生懸命に話す伊織を愛おしい者を見るような優しい瞳で見る。その瞳を見た隊士はきっと眼を何度も擦るだろう。そんないつもの鬼の副長と呼ばれる土方の瞳と今の土方の瞳にはハッキリとした違いが現れていた。
「さいきんね・・とぉってもこわいゆめを見るの・・・」
「怖い夢?」
「うん。・・そのゆめにでてくる人は・・ずっと前に・・・・・」
伊織は言葉を止めるとうつむく。そんな伊織を見て土方は優しく、昴とは違う優しい手つきで頭を撫でた。
「言いたくなきゃ無理して言わなくていい。言いたくなったら聞いてやるよ」
土方の優しい言葉に伊織は驚いたように顔を上げる。伊織は眉を下げて微笑む。
「としちゃんはいおりのこと、すき?」
「はぁ?」
「いおりはね、としちゃんのこと好きだよ!だぁーい好き!」
にこっと軽く頬を染めて言った伊織を見て土方は微笑んだ。
「あぁ・・・俺も好きだよ」