二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- MonsterInazuma ! ( No.3 )
- 日時: 2012/01/25 20:23
- 名前: めーこ ◆RP5U9RTa.. (ID: NzSRvas.)
微かな声を、頼りに。
区域5の方向から漂う"ペイントボール"の香りにすんと鼻を鳴らしてえんりはゆっくりと歩き出した。無駄な体力の消費を抑えるためだが、うかうかしているとモンスターは回復をしてしまうかもしれない。幾ら切れ味が良い双剣であろうと、回復されてしまっては今までの薬草だの回復薬だのの意味も無くなってしまう。
しかし、えんりは非常にゆっくりとしていた。
孤島での戦いは慣れているし、孤島はえんりの初めてのクエストの場所でもある。孤島を熟知しているえんりにとって、孤島はまるで家の庭のようなものだった。とは言え、"火竜"と呼ばれるリオレウスや陸の女王ことリオレイアの討伐は難しいと言えば難しい。
えんりの装備は雌火竜リオレイアの素材から作れるレイアシリーズで、武器は双剣だ。双剣については一切明かそうとせず、えんりの双剣の名を知る者は居ない、というのも、何か稀な素材から作れるのか、見たこともない姿形をしているのだ。
「……先輩」
大好きな人のことを脳裏に思い浮かべ、えんりは区域2を抜け区域5へ突入した。ジャギィの雄叫びが聞こえるもえんりの視界にジャギィは入っていない。目の前に圧倒的な存在感を示す大きな、"火竜"リオレウスを見つめていた。
大きな雄叫びに、えんりは圧倒された。一度倒したことはある。ただし、それは仲間の協力を得て、だった。単独でリオレウスに挑むのはこれが初めてだ。えんりが恐れるのは、怒り状態のリオレウス。口内に火を点らせて通常時とは違う攻撃力に、数人で挑んでも漸く勝てた、という状態だった、
最も、その時よりも格段に彼女は強くなっているのだが。
「——行きますよ、リオレウスさん」
目を細め、彼女は駆けだした。
リオレウスは翼を広げ、空中へと飛び上がった。その前に早く、えんりの双剣がリオレウスの腹を切り裂く。血飛沫が飛び、えんりは小さく息を吐いた。リオレウスは火を吐く竜だ。その火を食らうと、かなりのダメージになることをえんりは知っている。今の装備は火の耐性があるとはいえ、安全とは言えない。
ばさばさと大きく翼の動く音がする。えんりは知っていた。"彼"の真正面にさえ来なければそれほど火球のダメージは受けないということを。空中のリオレウスは真下に居るだけでかなりダメージを受ける攻撃を回避できる。えんりは何度も研究し、記憶に叩き込んだのだ。
"彼"の行動パターン、攻撃パターン、休息場所、全てを。
「私は負けない——何があっても!」
じゃきん、と双剣を抜いてえんりは跳躍した。大きく、リオレウスへと向かって。丁度攻撃に入るときだったのか低空飛行になっていたリオレウスの翼に一太刀浴びせる。ぶしゃあ、と鮮血が吹き出した。えんりはすたっと着地して苦しそうに呻きながら落ちてくるリオレウスを振り返って、すみませんと小さく呟いた。
モンスターハンター × イナズマイレブンGO
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