二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- MonsterInazuma ! ( No.7 )
- 日時: 2012/02/02 20:43
- 名前: めーこ ◆RP5U9RTa.. (ID: Se9Hcp4Y)
理由も根拠も無く、我武者羅に突き進めば。
リオレウスを一人で、其れも女性が倒したと。そんな噂が広まるのはあっという間だった。
最も、世間でそういう人物は少なくはない。ただ、女性というわけで凄い凄いと皆が感嘆の声を漏らすだけだ。そんな噂に、リオレウスと共にリオレイアも討伐した、だの、その帰りについでとしてロアルドロスを討伐した、だのという尾鰭がついて広まってしまい、見知らぬところでえんりの評判は上がっていった。
「散々だな、夜野」
「うーん、……正直言うとね、倒したときのこと、覚えてないんだ」
酒場にて。
他のハンターがえんりに注目する中、えんりの向かいの席に座って頬杖をついていた剣城が嘲るような笑みを浮かべながらそう呟いた。
その呟きに答えるようにえんりが言葉を返し、苦笑を浮かべながら頬を掻く。剣城はくす、と笑みを零してえんりの頭へ手を伸ばし、優しい手つきでゆっくりと柔らかく髪を撫でやる。
えんりは気持ちよさそうに目を細めて机へ顔を伏せた。
剣城とえんりのペアは、其れなりに有名だ。攻撃中心の二人の長所は、依頼が早い時間で終わることだ。短所と言えば、やる気が起きないものはしない、といったところだ。制限時間ぎりぎりに終わらせることもあれば、放棄するところもあるわけで。良い噂も悪い噂も出回っている。
そんな二人と対照的に、道具を使った戦略が評判なハンターの模範的存在、神童、霧野の二人組は剣城やえんりとも馴染み深い。駆け出しだった頃はよく四人で狩りに行ったなあ、とえんりは少しだけ昔へ思いを馳せ、そして現在へ意識を引き戻した。
「ねね、次は何に行こうか」
「……何でもドーゾ。俺はめんどいのはパス」
「んじゃあジンオウガ」
「めんどいのはパスっつったろ、」
「ちゃうちゃう、捕獲捕獲」
「もっとメンドイじゃねェかよ」
そんな会話を繰り広げていると、不意に頭上から声が掛かった。
「あ、あのっ」
ん、と見上げるとそこには見覚えの無い顔が二つ。
装備は駆け出しハンターが愛用しているチェーンシリーズだ。えんりは単純にリオレイアが好きだからという理由でレイアシリーズを装備しているが、好き好んでチェーンシリーズを装備する者は居ないだろう。ということは、とえんりはすぐに声を掛けてきた少女が駆け出しハンターだということを悟った。しかし、隣で無愛想に無表情で此方を見詰めている少年の装備は、レウスシリーズである。レウスシリーズはリオレウスから剥ぎ取れる素材から作れるもので、駆け出しハンターが身に着けるものではない。余談だが、剣城もレウスシリーズを装備している。
二人は何処かで見たような顔立ちだった。そう、まるで、自身の師匠のような。
チェーンシリーズの少女は柔らかそうな栗色の髪をしており、瞳は二重でぱっちりとしている。しかし、意志の強そうな瞳は彼そっくりだ、とえんりと剣城は思った。
隣に突っ立っている少年はそっくりそのまま彼を生き写したようだった。しかし、その瞳は深い青で、吸い込まれそうな程透き通っている。
「、どうかした?」
しかし、表情にも言葉にも出さず、えんりはただ微笑んで首を傾げた。少女はかちかちに緊張しながら、こういった。
「お父さんがえんりさんに教われ、って、そ、それで」
「……師匠め」
「私を弟子にしてくださいえんりさん!」
、困ったことになった。
モンスターハンター × イナズマイレブンGO
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