二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 何気ない日常の一ページ ( No.18 )
- 日時: 2012/04/18 19:49
- 名前: めーこ ◆RP5U9RTa.. (ID: rR8PsEnv)
ひまー。
子供みたいに、無邪気な声。
くすりと笑って、ゆっくりと頬を撫でてやった。
ぴくりと肩を揺らしながら如何したのか問いかける彼女に何でも無いと答え、後ろを向いていた体を黒板の方へ戻す。
教師は、居ない。
自習用にと配られたプリントの解答欄は既に埋まっており、することもなく蝉が泣き喚く外を見やる。
窓際の席だからか、やけに日差しが暑い、夏の昼。
じりじりとした暑さの中に時折生ぬるい風が混じり、それに乗ってグラウンドで体育の授業だろうか、サッカーをしている彼等の声が俺の耳へ届く。
楽しそうにはしゃぐ声に僅かに、本当に僅かに口元を緩めた。
「あ! 阿部が、笑ってる! ってかニヤけてる!」
「、うわ、どしたの」
からかうような彼女と花井の言葉にうるせえ、と返し、サッカーをしている別組の男子から視線を外した。
花井の解答欄はあと一つ、最後の難問だ。彼女の解答欄は殆ど埋まっていないに等しい。だけど、生徒の殆どを悩ませている数学教師が出した大学レベルの難問だけは何故かスラスラ解いている。
彼女の隣の席は、花井だ。
花井はその問題の答えを教えて貰う代わりに他の答えを教えてやっているらしい。彼女は頭がよくない方なので、にこにこと笑いながら交換条件でプリントの答えを書き込んでいく。
俺も花井も、頭は良い方だと思う。
っつっても、俺は全般が得意なわけじゃなく、数学が妙に得意なだけで、他の教科は平均、勿論、あまり宜しくない成績の教科も有る。
彼女はどちらかと言えば頭は悪い方で、田島や三橋と仲良くやっている。赤点追試、ギリギリのラインでやり過ごす彼女は一種の才能持ちなのだろうか。
そんな彼女だが、何故かこういった意地の悪い数学教師たちが出す大学レベルの問題はスラスラと解くのである。世の中よく分からない。
そんなことを考えながら、俺は顔を伏せる。
「花井さんきゅーっ、」
「此方こそ」
嬉しそうな彼女の表情が今にも視界に入ってくるようだ。
疲れているのか、重たくなる瞼を無理矢理上げることもせず、ゆっくりと目を閉じた。阿部、寝るの、という彼女の声にさあなと返し、時折吹く風に乗ってくる声に耳を澄ませる。
大きな声を出しているのは田島で、その周りではしゃいでいるのは悪友とか其処ら辺だろう。
フレンドリー且つ絡みやすい。そんな田島はクラスの人気者だと聞いている。俺が得意な性格じゃないが、其れでもやっぱり惹きつけられる何かはある、と思う。
その一方で三橋の声は全然聞こえない。あいつの声は小さいしビクビクしてるしオドオドだし、だけど何故かよく通る気がする。
やっぱエースっつうのかな。
「私も寝よう、寝ようぜ花井!」
「はあ? あと10分しか無い……っておまっ、」
「御休み花井! 花井も寝なさいよー」
「ちょ、……あー! ったく、」
「寝るんなら俺にも教えてよ!」
「あ、いたのか水谷」
「酷い!」
ギャアギャアと騒ぎ始める周りに俺は思わず笑みを零してしまい、それを誤魔化すようにきつく目を閉じた。
「このクラス、私好きだな」
何気ない篠岡の言葉に、寝たふりをしながら俺はまた笑ってしまった。
何気ない日常の一ページ
(すごく心地好いんだよ、お前等と居ると)
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口には出さないけど阿部はきっと7組が好き。
しのーかを何とか出したかった。可愛いよねしのーか。
私=夢主というかヒロインというか。
今回はただ単に阿部くんが7組好きをアピってただけ。