二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: BRAVE10*時守りの忍【原作沿い】 ( No.5 )
日時: 2012/01/22 20:46
名前: 勾菜 (ID: Dfaev/X/)

少女2人が山を駆けているのと同時刻。

1人の男が道端にしゃがみ込んで小銭を数えていた。

その手のひらには小銭3つ。

「あーー…」
どこか深刻そうなため息をつく。
男は小銭3つを真剣な眼差し見る。
(ぬううう…何度見ても金がない……
もう3日も何も食ってねぇっつーのにどうよ!?
この状況。すでに目ェ回ってヤバイ)
ずーんっと音がしそうなほど、男の周りの空気が重い。
そんな男の傍を1組の親子が通っていく。
「おっ母、あれなに!?」
「見ちゃダメ!!たかられるよ!!」
男を指指す子供をたしなめる親の図…?
たかる、という言葉にカチンっときたのか、男は親子の方を睨む。
すぐに親子は逃げ出す。
このとき聴こえた悲鳴はきっと幻聴。
次の瞬間、ぐううぅぅっとなる腹。
男は顎に手をあて、思案する。
このままじゃ餓死決定だ!
また戦で稼ぐ……つーか最近は戦ねぇし。
こうなりゃ、どっか大名の家臣にでもなって……

……

ここでしばらくの沈黙。

「——って、この霧隠才蔵ともあろう者が情けねえ!
 自分を安売りしてどーする!!」
どうやらこの男、才蔵という名前らしい。
(最後に剣を振るってから、もうどれくらいたったろう——)
腰につけた大きな武器に手を当て、ふとそう思った。
才蔵はきれいな空を見上げる。
「——…この広い天下に俺の居場所ってのはないのかね…」

フラッ
才蔵の体が大きく傾ぐ。
「あ。」

起立性貧血発症。
何も食べていないのだから、それも仕方がない。
声も出ないのかそのまましゃがみこむ才蔵の耳に、いくつかの足音が届く。
「あ?」
才蔵が音のする方を向くと、

茂みから2人の女が飛び出してきた。

しかも、それを追うようにしてたくさんのクナイも。

才蔵は反射的に2人の女を抱えた。