二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   狛犬は空を嘲笑う  【青の祓魔師】 ( No.12 )
日時: 2012/01/23 08:50
名前: 如月 ◆eZsQmZilro (ID: w0.JbTZT)

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「はーい静かに。席について下さい、授業を始めます。」



 古いアンティーク調のドアが重苦しい音を立てて開かれる。
其の言葉と同時に出てきたのはまだ若い先生だ。
隣で犬になったフェレス郷を膝にのせた燐は其の先生の顔を見た瞬間豆鉄砲を食らった様な顔を見せた。

其れも当たり前だ。——まさか誰も自分の弟が自分の先生だなんて思わないだろう。

 唯は雪男に事情を聞いていたため知っていたのだが燐は聞いていなかったようだ。




「はじめまして、対・悪魔薬学を教える奥村雪男です。」



 雪男はにこりと爽やかに微笑むと、「ゆきお????」と驚きながら自分の名を呼んだ燐に対してまるで何の関係もないかのように「はい、雪男です」と返した。



「どうしましたか?」
「や…どどどうしましたかじゃねーだろ!お前がどうしましたの!?」
「僕はどうもしていませんよ。授業中なので静かにして下さいね」
「?、???」
「り、燐くん……落ち着こうよとりあえず」



動揺を隠せない様子の燐に動じずに雪男は話を始めた。
同じ歳だが悪魔祓い(エクソシズム)では先輩だということ、便宜上先生と呼ぶことをやはり爽やかにスラスラと述べると授業の内容について話し始める。



「——では、魔障の儀式から始めましょう。」
「ましょう……ってなんだ??」



燐にそう聞かれたフェレス郷は魔障の話を始める。話し終えると最後に燐は悪魔だから必要ないということを付けたし、雪男を見据えた。



「奥村先生のほうは歴代最年少で祓魔師の資格を得た
 ——対・悪魔薬学の天才です」



その言葉に燐は一瞬難しそうな顔をした。兄弟なのに何の説明もないことが悔しかったのだろう。
雪男が説明を続けていく中、燐はふと立ち上がった。



「おい!」
「……なんですか?」
「説明しろ……!」
「…授業中ですよ。席について」



——ふざけんな!一際大きい燐の声が聞こえた。
教室中に響き渡った其の声は飽和して消えてなくなる。
唯は燐の制服のすそを掴んで、席に戻ることを促すが、もう既に雪男は話し始めていた。



「…さっきも言ったけど…僕が祓魔師になったのは二年前。
 訓練は七歳の頃から始めた。
 …僕は生まれた時に兄さんから魔障を受けて……
 物心つく前から悪魔がずっと視えていたんだ。」



「…ずっと知ってたよ。知らなかったのは兄さんだけだ。」



唯は燐の顔をちらりと盗み見る。
その顔は絶望に染まっていて、唯も寂しそうに目を伏せる。
——兄弟なのに、何故俺に言わないんだ
そう聞こえた気がした。



「なんで俺に言わねーんだ!!!!」



燐が声を張り上げて雪男を怒鳴った。





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