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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- -00- 序章 色落とす紅葉と朝方の脱力感 ( No.6 )
- 日時: 2012/01/29 13:19
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
-00- 序章
日が少しばかり照りだす朝方。
ひらり、どこからか飛んできた紅葉が音も無く一松の石畳に落ちる。遠く聞こえる鐘の音が此処、風流な日本の古都である京都市街地に穏やかに響き渡った。
青く高く澄んだ空と、真っ赤な紅葉のコントラストが色鮮やかに町を彩る今日この頃。
「……うわぁ、僕十位だって。“気の使い方に注意しましょう”……か。奏始は?」
「四位。“笑顔に騙されないようにしましょう”。」
「……何それ、暗い。」
テレビの中を動き回るメルヘンチックな動物と可愛くレタリングされた星座占いの文章。
それをトースト片手に眺める二人の人間。
「僕……昨日は九位だったし、その前は十一位だったし。なんでずっと下位さ迷ってるんだろ。」
ふぅ、と溜息をついたのは少女。
白銀と薄い紫を混ぜたような髪色に深い青の瞳。
どうやら学生らしく紺のセーターに青のチェックスカートを身に着けた彼女は残り少なくなったトーストを一気に口に放り込み、頬張る。
「まぁ、所詮星座占いだし気にすんな。どうせ当たらないんだよ。」
コーヒーカップ片手にそう呟くのは少年。
鮮やかな、それこそ紅葉のような赤い瞳と明るい茶髪。
少女同様紺のセーターにズボンを身に纏った彼は呆れ顔でトーストを頬張る彼女を視界に映した。
「ほら、早くしないと遅刻する。会長に怒られるぞ。」
「……てか、なんで休日に登校しなきゃなんないの?……生徒会は大変だね、副会長さん。」
「そうですね、書記さん。……で、いいから早くしろよ。」
「……はーい。」
トーストを飲み下し、気の抜けた返事を返す少女。
どこからか舞込んできた紅葉が広々とした和室に色を落とした。
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