二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: あの頃の二人には、もう戻れない。【イナGО】 ( No.25 )
- 日時: 2012/01/31 18:27
- 名前: 風見鶏 (ID: nWEjYf1F)
第3話「天使の罠」
「わりい。今日も一緒に帰れねえ」
最近、剣城は用事が多い。
お兄さんのことなのだろうかと考えてみるが、そしたら途中まで
一緒に帰ってもいいんじゃないかと考えてしまう。
「剣城、最近用事多いね。何かあったの?」
「え、いや、ちょっとな・・・」
聞いてみても、困ったように俺から目を反らす。
その日がだんだん過ぎていくうちに、気まずくなって
あまり話さなくなってしまった。
そして、俺はある事を考えてしまった。
剣城は、元々俺と付き合うっていうのは、ただの遊びだったんじゃ
無いかって。
「違う」と自分に言い聞かせても、不安は募る一方で。
ついに、今日学校を休んでしまった。
ぽーんと、ボールを弱弱しく天馬は蹴り上げた。
大好きなサッカーをしているのに、全然楽しくなかった。
「剣城だけは信じられたのに」
自然と、涙がこぼれる。止めようとしても、全然止まる様子は無くて
ついにその場でしゃがんでしまった。
「つるぎ、つるぎぃ・・・」
その時、ぽんッと誰かが天馬の肩を叩いてきた。琥雨牙だ。
「どうしたの、くうが・・・約束は夕方じゃ・・・」
「んー?天馬に早く会いたくてさ」
にこっと笑う琥雨牙の笑顔を見て、天馬は少し落ち着いた。
「天馬、独りで抱え込むことなんてないよ。俺に話してごらん?」
琥雨牙は、天馬を優しく、小さい子をあやすように抱きしめた。
「(ああ、なんて暖かいんだろう)」
天馬は、琥雨牙にポツリ、ポツリと全てを話した。
終わったとき、琥雨牙はさらに天馬を抱きしめる腕の力を強くした。
「かわいそうに、天馬。剣城とかのいう奴に、捨てられたんだね」
「えぐ・・・ッ、くうがぁ」
「天馬、じゃあ僕のところに来ないか?」
突然、琥雨牙にそう言われ、天馬は目を見開いた。
「それってどういう「なあに、剣城君をちょっと懲らしめるだけだ」
琥雨牙は立ち上がり、天馬に紫色の宝石がついたネックレスを
見せた。
「これをつければ、君は強くなれるんだよ。
でも、これをもらうなら僕についてってもらう」
天馬は、じっとネックレスを見た。
ドクンッ、ドクンッ、と心臓が跳ねる。
欲しいという欲望がどんどん強くなっていく気がした。
「・・・神童君とかにも復讐とかも出来るんだよ」
ポツリと琥雨牙は言った。
その言葉に天馬は完全に決意した。
「・・・分かった。俺は琥雨牙についていくよ」
クス、と琥雨牙は小さく笑い、天馬を手招きした。
「そう・・・天馬。さあおいで・・・」
天馬は言われるがまま琥雨牙に抱きついた。
琥雨牙はその様子に口を三日月のように吊り上げた。
「天馬、剣城君達を一緒に復讐しようね・・・」
天馬は、こくっとただ頷くだけだった。
清清しいペガサスは翼を自ら折り、闇へと堕ちた。
天使の罠だということも、知らずに。
======天使のような悪魔========