二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  甘い硝子ピアノが奏でるシンデレラ*. [桜蘭高校ホスト部] ( No.3 )
日時: 2012/01/29 19:23
名前: さくら (ID: z2eVRrJA)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5695ba/


南校舎の最上階。

北川廊下突き当たり。

未使用無人の音楽室。

扉を開けると、そこは———。





 Host01:[ 神さまが不在であったために ]





晴れ晴れしい快天の真っ只中。
無駄に広い学園の廊下を、一人の少年、否、少女が歩く。


「四つも図書室があんのになんで何処も騒がしいんだ?」


静かに勉強出来る場所を探して何分過ぎた事でしょう。
歩く度に大理石の音が響く。


「静かそうな所と言えば、後は此処位しか————……」




扉を開けると、
    其処はホスト部でした。




「「「いらっしゃいませ」」」









「……は」


…如何やら、とんでもない立ち入り禁止エリアに自分は足を踏み入れてしまった様です。
人数を確認すれば、6人の男と1人の女。全員が全員、この世のものとは思えない位の煌びやかな雰囲気を纏っている。
血の気が一瞬にして退いたのが自分でも分かった。

行き成り目の前に飛び込んで来たその美貌に、自分は恐怖さえも覚え、固まって間も無く大声を上げ床にへたり込んでしまった。
余りの驚愕さに、胸の鼓動が止まらない。


「「なんだ男か」」

「口を慎め。男だって大切なお客様だろーが」


“ちっ、つまんないのー”と脱力したドッペルゲンガーを叱る金髪。
そしてその金髪は自分の前に来て、王子様の様に手を差し伸べる。


「桜蘭ホスト部へようこそ!世にも稀な特待生の藤岡ハルヒ君!!」







此処、私立桜蘭学院は、
        一に家柄
          二にお金。

財有る者は暇を持ち、隔して、ホスト部とは、暇を持て余す高等部美麗男子六人が同じく暇な女子を持て成し潤わす。

超金持ち学校独自の華麗なる遊戯なのでありました。







「ハルヒ?君、ハルヒじゃない?」


綺麗な自分の名前を呼ぶ女子の声。
そう言えば、此処には女子も居たな。そう思い、振り返ってみると見知った顔が目に入った。


「…サクラ?」

「やった、やっぱりハルヒだ!何でこんな所に?」


“なっ!こんな所とは何だ、こんな所とは!”先程の金髪の男の人がサクラに掴み掛かる。それを軽くスルーして自分の袖を引っ張って場所を移動するサクラ。
隅では金髪の男の人が、体育座りで落ち込んでるのが目に入った。


「あー、気にしなくて良いよ。何時もあーだから」


呆れた表情で話しを続けるサクラ。
途中、何でこんな所に居るの?なんて聞かれるから、今までの自分の経緯を説明した。

すると状況が分かったのか、サクラは自分の事を他の皆に話してくれた。
因みに言うと、此の少女はサクラ。中学の時自分と同じ学校だったり何故か親同士が仲良かったりで、今ではすっかり自分の親友である女の子。
同じクラスだったんだけど、サクラは自分に気を遣ってくれてクラスでは余り話さない様にしていた。
家はとてもお金持ちなのに、自ら提案し、中学は自分達の通う庶民学校に入学していた。決して自分の欲を優先せず、皆平等に。金持ちにしては大らかで心の広い少女だった為、友達も多く、笑顔で生活が出来た。


「どうもうちの校風は庶民には敷居が高過ぎるらしくてね。余程図太い神経の持ち主でもなきゃ奨学特待生にはなれないであろうと言われていたんだ。」


“これで君を知らなきゃモグリだろう?”成程サクラから状況を説明され理解した眼鏡の人が更に追い討ちを掛けてくる。此の人、黒いっ…!
『図太い庶民』そのワードが妙に引っ掛かるがこの際自分を勇者扱いして来る金髪の人を見れば声も出なくなった。

例え学年主席であろうと君は学校一の貧乏人。雑草と罵られ、下賤の民とも蔑まれるかもしれない。否、寧ろされるだろう。
良いじゃないか。貧乏万歳だ。勇者にとって、大切なものはその無謀ともいえる心意気なのだよ!

そんな言葉をマシンガンの様に連発するこの男は一体。
しかも、無駄に周りに薔薇が咲いている。


「気にしないでね。環、何時もああだから。」


“あ、一応先輩だよ”と付け足すサクラはウインクをした。星が散る。成程、この暑苦しく失礼極まりない金髪は、環というのか。しかも、先輩だと。


「噂のガリ勉君が男色家だったのは意外だが…。」

「「いいや、うちのホステス様目当てかもしんないヨ。サクラと親しげだったし」」

「へ?」


思わず抜けた声まで出してしまう。男色だと?
嗚呼、もう分かった。この人達には本当に何も期待してはいけない。サクラ意外、全員、警戒警報が出ている!

すると環先輩は素敵な笑みで口を開く。



「どんなのがお好みかな?ワイルド系?ロリショタ系?それとも…。
                                       この、俺にしてみる?」