二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマ 【幻想で響くシャンソンは】 東方project ( No.14 )
日時: 2012/02/07 19:09
名前: ドロップ ◆8WWubVa7iM (ID: aUi6IQQT)

『東方幻奏夢』

第一話







「今日も、いつも通りねぇ。」

— 楽園の素敵な巫女 博麗霊夢 —


寒い、寒い冬の日に、紅い巫女…博麗霊夢が呟く。

彼女は、神社の中で雪を眺めている。



「よぉ、霊夢。こんなに寒いから茶をたかりに来たぜ!」

— 東洋の西洋魔術師 霧雨魔理沙 —


襖が、魔女によって大きな音を立てながらあいた。

きっと襖が悲鳴を上げていることだろう。


「あー魔利沙、悪いけどお茶は自分の分しか用意してないわ。
 欲しいのなら自分でいれて頂戴。」

そういって、霊夢は急須の方を指差した。
魔理沙は帽子の中から湯のみをだし、お茶を入れた。


「…その帽子、一体どうなってるのかしら。」

「ただの帽子だぜ!」



「お邪魔するわね、相変わらず暇そうにしてる巫女さん。」

— 完全で瀟洒な従者 十六夜咲夜 —


先程の襖が、メイドによって再び開けられる。

と言っても、魔理沙ほど強くあけていないが。


「どうしてみんな、勝手にはいってくるのかしら。」

「あら、別にいいじゃない。
 人間同士のよしみよ。」

「まったくだぜ!」


どうやら皆、博麗神社の事を小さく見ているらしい。
咲夜は、自分で持ってきた紅茶をティーカップに入れた。

「あら、そのティーカップ、私のじゃない。」

「本当の手品というものは、タネも仕掛けもないのよ。」




「失礼します、妖夢ですけど…って、みなさん居たんですね!」

— 半人半霊の庭師 魂魄妖夢 —


刀を日本持った庭師が、咲夜に続けて入る。

堂々と入ってきた魔理沙、礼儀正しく入ってきた咲夜と違って、おどおどしながらあけている。


「あら?今度は妖夢が来たの。」

「き、来ちゃいけませんでした?」

「全然大丈夫だぜ!」

「なんで貴方が言うのかしら?…私も言えないけれど。」


妖夢は、周りのペースに流されている。
わたわたとあわてながら、諦めたように腰をおろした。



「御免くださーい!暇つぶしに来ました!」

— 祀られる風の人間 東風谷早苗 —


連続で開けられた襖が、巫女の手によって再び悲鳴を上げる。

きっと、そろそろ取れることだろう。


「…早苗も来たのね。」

「いいじゃないですか!…って、人間さん達勢ぞろいですね!」

早苗は、周りをぐるりと眺めた。

「…あら?貴方は一体……」

早苗は、咲夜の方を見て不思議そうに首を傾げる。

「始めまして、のようね。
 私は十六夜咲夜。紅魔館のメイドをやっているわ。」

「あ、ご丁寧にどうも!
 山の神社の巫女をやっている、東風谷早苗です!」







「…って、なんでみんなうちに来たのかしら?」


「寒いから」と魔理沙。
「お嬢様は今、お休みになっているので」と咲夜。
「幽々子様がお出かけになってるので…」と妖夢。
「いいじゃないですか、どうせ暇なんですし!」と早苗。


「はぁ…博麗神社は休憩ルームじゃないのよ?」








人間そろって、わらいあう。

妖怪がいても、わらいあう。


この日々が、普通だと思い込んでいた。


こんな日々は、実際は幻想だとも知らずに。


これから、夢となるのも知らずに。