二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Story 『物語』ターン ( No.16 )
日時: 2012/05/12 22:48
名前: 永夢 雪華 (ID: 7G9M03h3)

(2)輪廻探偵は己を問う

















枯れ果てた荒野にはこの世のモノとは到底思えない冷気が漂っていた。
何が在ってナニがないのかさえも判らない空間で、はっきり“在る”と断言できるのは一本の桜と一人の少女のみ。

  ———覚めない夢幻に「さよなら」を告げよう———





「沙耶が此処に戻ってきたのは運命でしょうか。必然なのでしょうか、それとも単なる偶然?
 選択することを許されない沙耶には解りえない難題なのですよ。」





<輪廻探偵・サンサーラデュタクト>は桜に問いかける。
答えなどないと知りながら。
答えなどないと考えながら。
答えなどないと願いながら。





「運命など信じない。必然と偶然の可能性だって50%ずつだ。
 なのになぜ———沙耶は存在するのですか? 沙耶の存在意義は何なのですか?
 そして、あいつらが沙耶に望むことは何ですか?」





ふっ、とこぼれる溜め息。
相変わらず返事をくれない桜に背を向け歩き出した彼女の心は、頭上の空と同じ曇りだった。



  ———解決しないのならば、いっそ壊してしまえば良いのです———

消えない悪夢に終止符を打とう。
終わらない幻に最終宣告を下そう。
そう、探偵は何時だって“無情”であらなければならないのだから。