二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

永遠の眠り姫...... 2 ( No.58 )
日時: 2012/06/27 17:09
名前: 舞雪 (ID: 6kwRIGzI)

(1)本末転倒な太陽









「あの〜・・・そろそろ帰っちゃ駄目ですかね〜・・・?」

「駄目だ」



窓から見える虚ろ気な空。
王宮内もそんな灰色の気候に侵されたよう。
まあもっとも、“あ、やっぱり?”とばかりに舌を出す少年には雨も雷も隣に立つ青年も、視界に入っていなかったようだが。


———王宮の一階、平常時には人で溢れかえる決して狭くは無い空間。
だが二、三日前からは台風が近づいている為人気の欠片もない。
受付の役割を果たせていない女性は退屈そうに時間を持て余しているとひと目でわかる。

なんだこの有様は。

お世辞にも綺麗とは言いがたい銀色の髪をガサガサとやりながら白鳥真翔は王国の行く末を危ぶむ、




「・・・ねー真翔さん。なんでちょっと道を間違えたくらいでこんな説教されなきゃなんないんですか?」




と同時に少年の未来を想像してただでさえ酷い頭痛を更に悪化させる。



「馬鹿かおまえは、耳が腐るくらいに言われなかったのか、聖帝の部屋には近づくなって!!」
「なんでですか」
「なんでじゃない」


「———だって真翔さんフツーに入ってくじゃない。休憩時間とか」





少年の言葉の余韻を雨の音が打ち消す。
脳内を嫌というほど稼動させた答えを、青年は漠然と受け入れるしかなかった。




「ちょ、どこ行くんですか真翔さん! ・・・ってか俺逃げてもいいんですか」


可哀想に、少年の呼びかけは虚しく宙に消えて。