二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】白銀の風、黒の舞姫【標的10更新】 ( No.104 )
日時: 2012/10/24 20:54
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://ameblo.jp/allen-riyunkio-exorcist/entry-11386137051.html

 【ツナ目線】

  標的1.5「転校生」


 D(デイモン)を倒して数週間がたった。

 「ふ、わあぁぁぁぁ」

 眠い・・・。
 ふと、時計に目をやると、時刻はAM5:12。まだ起きるには早い時刻だった。
 ————もう一回寝よう。
 そう思って布団に潜り込もうとする。すると、

「そうか。あいつがここに来るのか」

ぼやけた視界の中でリボーンが呟いていた。リボーンはもういつものスーツ姿(?)に着替えていて、手に何かを握っていた。
 ・・・あれは————
 ぼやけた視界の中でうっすらとわかるのは、手紙がオレンジ色に輝いていること。いや、燃えている。あれは、死印炎の押してある手紙だ。
 死印炎の押してある手紙、といえばオレが思い付くのは9代目からの手紙だ。

 「アイツと会うのも年ぶりだな」

 リボーンは言った。珍しく笑っている。だけど、

「だが、・・・・・・遅い」

リボーンの表情は険しくなった。その呟きには、怒りが込められている。
 オレは眠かったのと、リボーンに関わらないようにするため、慌ててもう一度布団に潜り込み、今度こそ深い眠りについた。


     ◇◇◇◇◇


「ツッ君、ご飯は?」
「いらないよ! あぁ〜ヤバイ! 遅刻する〜〜!!」

朝。二度寝をしてしまったせいもあり(いつものことだけど)寝坊したオレは慌てて制服に着替え、靴を履こうとする。が、慌てているので靴紐がうまく結べない。そんなカンジで悪戦苦闘していたオレの背後から声がした。

「おい、ツナ」
「なんだよリボーン」

 振り向くとリボーンが仁王立ちしている。しかも、顔がニヤニヤとしていた。これはよくないことを企んでいるときの顔だ。

「今日、学校に新しいヤツが来るからな、そいつを連れてこい」

 ・・・新しいヤツって転校生のことかな? でも何でそんな転校生を・・・。

「は? なんで・・・」
 「いいから連れてこい。絶対だぞ」

そう言うとリボーンは銃を出し、オレに銃口を向ける。

「ひいッ! まて、リボーン! わかったよ、連れてくるから!」

そういうと家を飛び出した。外に出るといつもより強い風が吹いている。

「・・・・・・今日は風が強いな」

 ————風が強い日もたまにはあるけど、今日はなんだか違う気がする。
そう思いながら、肌に当たる風の強さを感じていたけど、遅刻しそうになるのに気づくと、猛ダッシュで学校へ向かった。

 ふと、後ろを向くと家の前でリボーンがオレを見ていた。
「絶対に連れて来いよな、ツナ。3日も遅れてきているんだ。みっちり、あいつにお仕置きしないとな」
 何を言ってるのかは聞こえない。けど、遠くからでも分かるくらいに、
 リボーンの顔はニヤッと笑っていた。


     ◇◇◇◇◇


————リボーン、学校に新しい奴が来るって言ってたけど、誰なのかな?
遅刻ギリギリで学校に着いたオレは、教室の自分の机でダラ〜〜ッと寝そべりながら、ふと、考える。すると、

「おはようございます、10代目!」
「うっす、ツナ」

 獄寺君と山本がやってきた。

「おはよ、獄寺君、山本!!」
「ところで10代目、今日転校生が来るのご存じですか?」
「えっ、そうなの!? じゃあリボーンが言ってた人って・・・・・・」

 やっぱり転校生が来るみたいだった。何でリボーンは知ってるんだ? それに何でその人を連れて行かなくちゃいけないんだろう。
 ひとり考え込んで呟くオレに獄寺君が聞いてくる。

「なんすか、それ」
「うん、実は・・・・・・」

 朝、リボーンにちょっと言われたんだ————と言おうとしたところで、
————キーンコーン。と鐘が鳴った。獄寺君たちが急いで席に戻る。周りのみんなも同じ動作をしていた。
 ドアが開き、先生が入ってきた。先生は黒板の前に立ち、

「え〜、転校生を紹介する。キミ、入って」

 そう言うと、

「は〜い」

 と、やや高めの声が聞こえた。オレ、いやクラスのみんなの視線が一気にドアの所へ集まる。
 ————リボーンが連れてこいって言った人ってどんな人だろう。ちょっとワクワクした気持ちで見ていた。すると、
 教室に入ってくる影は見えた。けれどその人物の姿は一瞬で消え、

「あいたッ!」
こけた。扉につまずき、豪快に。
 ————なぁ〜ッ!? こけた!? 今どきこけるとかありえないよ、あの人!!
 そう思い、その人を驚きながら見ていた。クラスのみんなも驚き、教室は静かになっていた。

 「おい、キミっ! 大丈夫かね」

 心配そうに先生が聞くと、

「あいたたた・・・・・・あ、はい、まあ」

 その人はこの教室の状態に気がついたのか、急いで立ち上がり、シャツやズボンなど、汚れている箇所を払う。フードを被っていたので表情は見えないけど、きっと恥ずかしがっているに違いない。
 そんな転校生の服装は、フード付きのパーカーを着ているところを除けば、白シャツにネクタイ、ズボンというこの並中の男子の制服を着ていた。
 ちなみに、今のこの教室の雰囲気は、”何してんの? 大丈夫? コイツ・・・“というカンジだ。オレならその場で逃げ出す、かもしれない・・・。
 すると、

「・・・じゃあ、名前を」

 こんな空気を変えるためか、先生が自己紹介の場を与えた。そのタイミングを計ってか、転校生は声を出す。

「えっと、名前は篠原。篠原り・・・・・・」

 転校生の言葉が止まる。そしてある一定の場所を見つめていた。
————? 誰を見てるんだ?
 視線をたどる。窓の外ではない。転校生の視線は、この教室の、オレの隣。そう、そこは・・・
————!? 京子ちゃん!
 気がつくと転校生は京子ちゃんのほうへ向かって歩き出していた。またみんなの視線が集まっているが、転校生は気にしてはいない。そして京子ちゃんの席の前で足が止まった。すると、

「キョーちゃァァ〜ん〜〜!!」

転校生は京子ちゃんに抱きついた。その反動で被っていたフードがとれる。
————なッ

『なにィィィ!? !!』

これにはクラスのみんなも絶叫を上げる。京子ちゃんも驚いていたけど、転校生の顔を見てふと、呟いた。

「・・・もしかして・・・・・・リン?」

転校生の名前は『リン』というのか、名前を呼ばれ、京子ちゃんから離れ、顔を見る。

「やっぱりキョーちゃん、覚えててくれたんだ!!」
「うん、もちろんだよ」

京子ちゃんは転校生に笑顔を向ける。ヤバイ、惚れそう。また感情の抑えがきかなくなり、思わず、

「ありがと、京子!」

そして、謎の転校生は、京子ちゃんの、頬に、

——ちゅ。

唇を当てた。

 ————な、なにやってるんだー!? あの転校生ッ!?

 心の中だけで叫んでいたつもりだったけど、声に出ていたことに気がつくのはまだ後のことだ。


  〆 10月24日