二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】白銀の風、黒の舞姫【標的3.5更新】 ( No.120 )
日時: 2012/10/30 19:51
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: 祝★一周年企画


 【ツナ目線】

  標的4.5「あだ名」


 「ねぇ、沢田」
 「ん、なに?」

 篠原君は今すごくニコニコしている。理由は・・・ね。

 「みんなもいいかな?」

 篠原君の言う、『みんな』というのは、獄寺君、山本、エンマのことだ。

 「なんだよ」「なんなのな?」「・・・なに?」

 篠原君は笑顔で、

 「みんなのことあだ名で呼んでいい? あ、みんなも『鈴』って呼んでいいからさ」

 突然びっくりした。何を言い出すかと思えば、あだ名で呼ぶかどうかのことだったんだから。

 「いいよ」とオレ。
 「別に・・・いいけどよ」と不満そうだが、了解する獄寺君。
 「いいぜ」山本はいつもの笑顔で言った。
 「うん、いいよ」エンマも了解する。
 すると、篠原君は嬉しそうに、言った。

 「んじゃあ、これからよろしく! ツナちゃん、たけちゃん、はやちゃん、えんちゃん!」
 「「「「・・・!?!?!?」」」」

 ————何その呼び方ーー!? 
 オレだけじゃなく、みんな驚いた顔をした。

 「・・・え? なんか変なこと言った?」

 そう言った篠原君にに獄寺君がが呆れた顔で言う。

 「なんだよ、・・・その呼び方」
 「・・・向こうで、男子には名前の二文字を取って『ちゃん』づけで呼んでたんだけど・・・。おかしい?」

 ————充分おかしいよ!!
 たぶん『向こう』というのはイタリアのことだろう。そう思っていると、

 「・・・沢田は『つなちゃん』はいや?」

 篠原君は残念そうな顔で聞いてきた。オレは、

 「みんなには『ツナ』って呼ばれているから、オレはそっちのほうがいいかな」
 「じゃあ、沢田は『ツナ』って呼べばいいね? 獄寺は?」

 少々不服そうだったが了解し、篠原君は今度は獄寺君に聞く。すると、

 「・・・いやだぜ、俺は」

 ・・・獄寺君はいかにも嫌そうに篠原君のことを睨んでいた。ていうか『はやちゃん』って・・・。男のオレとしてはちゃん付けは止めてほしいと思う。すると篠原君はおずおずと、

 「じゃあ、・・・『ごくちゃん』?」
 「なんでだよ!!!」

 獄寺君が全否定したので、普通に呼ぶことになった。
 一方、山本はというと・・・。

 「ん、俺はいいぜ!」

 いつもの笑顔で山本は言う。そんな山本を見て、まるで救いにでもなったかのように篠原君は目をうるうるとさせ、山本に拝むような形をとった。山本は「?」という顔だ。そんな様子を見ていると、ふいに、

 「・・・コーちゃん・・・・・・」
 「えっ?」

 篠原君がエンマを見て、呟いた。
 それにエンマが驚き、声を出す。
 篠原君は慌てて「なんでもない、なんでもない」と言っていたが、

 ————『コーちゃん』って・・・?
 オレはその疑問がどうにも消せなかった。エンマを見て言ったということは、誰かに似ていたっていうことなのかな?
 隣では、そんなことはなかったかのように篠原君とエンマがあだ名についてのやり取りをしている。結局、普通に「炎真」と呼ぶことになったようだ。

 「ふぅーーーッ」

 篠原君は上を向いて深く深呼吸をする。そして顔をこちらに向けると、

「・・・あのさ、みんなにお願いがあるんだけど・・・」

一息ついて、鈴はこう言った。

「学校案内も兼ねてさ。———探してほしいんだ」
「・・・何を?」

 オレは尋ねてみる。鈴は何を探して欲しいのかを言っていないことに気がついたのか、クスリと笑う。そして、彼は急に表情を変え、こう言った。

「落とし物」


 それは、さっきとはまるで違う、大人びた真剣な表情だった。 


  〆 10月30日