二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 家庭教師ヒットマンREBORN!〜風姫の舞〜 標的1 更新! ( No.21 )
日時: 2012/07/04 19:17
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)

   標的3 「チョッコラート<粉砕>」 



 「はあーっ。やっとゆっくりできるー」

  「ったく、なんなんすかね。アイツ。いっぺんシメてやりましょうか」

  「いやいや、獄寺君、それはダメだって!」

  時は過ぎ、今は昼休み。ツナ、獄寺、山本、エンマの四人は並盛中の屋上に居た。心地よい、爽やかな風がツナたちにあたる。

  (・・・なんであんなことになったんだろう・・・・・・)

  HR(ホームルーム)で起きたことを思い出したツナは、深く肩を落とした。



    ◇◇◇◇◇





  ——回想中——



  「も、もう。やめてよ、リン」

  「いーじゃん。久しぶりなんだし」

  少年からのハグとキスを、京子は本気で嫌がってはなさそうだった。

  「ほらそこ、イチャつくな。・・・篠原、前に戻って自己紹介の続きをしろ」

  「は〜い」

  不満そうに戻る少年。周りのクラス一同が、ぽかんと見ているのと、嫉妬の目で睨んでいるのにはきがついてはいないようだった。

  黒板の前に立った少年は琥珀色の長髪をポニーテールにしていた。硝子のように透き通った髪と同じ琥珀色の瞳を前に向けて、口を開いた。

  「えっとぉ。名前は、篠原鈴。『すず』って書くけど、『リン』って読むから。・・・・・・もし、『すず』って呼んだ奴は・・・」

  一息。

  「———殺すよ?」

  そう言って少年——鈴は微笑んだ。だが、微笑んでいるはずの顔に、怒りマークがついていることに気づいたツナたちクラス一同は、畏れを感じた。

  そんなツナたちを鈴は無視し、自己紹介を続ける。

  「あ〜、髪はこんな色だけど、別に染めてるわけじゃないから。ハーフだから、気にしないで」

  「どこの国とのハーフ?」

  クラスの男子が問いかける。鈴は、「・・・イタリア」と、サラッと言い返すと、「だから、ハグやキスをしたのかー」「ハーフかっけぇー!」という、様々なざわめきが起こった。

  (へぇ〜。獄寺君と同じかぁー)

  ツナは、ふいにそう思った。

  「あ、ちなみに京子とは ———」

  そう言った瞬間、教室は張り詰めた雰囲気となった。皆、言葉を止め、鈴の次の言葉に耳を澄ませた。

  「———“いとこ”だ・・・・・・」

  から。と、言い終わる前に、教室中に「ヤッターッ!!」と歓声が上がった。もちろん、男子たちの。ツナも思わず、ほっ と肩を落とす。

  「静かにッ」

  教師の一声でシーンと静かになる。

  「篠原の紹介はこれくらいでいいな。 えっと、じゃあ。篠原の席は・・・・・・沢田の後ろが空いてるな」

  そう言われると、鈴はその方向へ歩き出した。

 が、ツナの机の脚につまずき、——ズドーンところんだ。

  ——グシャッ。

  「ちょ、大丈夫?」

  ツナに声をかけられた鈴は反応して起き上がり、

 「ああ、大丈夫。大じょ・・・あぁァァッ!!」

  「ど、どうしたの!?」

  鈴は呟く。ころんで下じきになったカバンの中身を見て。

  「——が」

  「えっ?」

  「チョコがァァ!!!」

  どうやら“グシャッ”という音は転んだひょうしにチョコが砕けた音らしかった。もちろん、これは鈴が自分でころんだので自業自得なのだが、気が動転していたらしい。キッ、っと鋭い目つきでツナを睨むと、先ほどより1トーン低い声で、

  「・・・沢田、とか言ったな・・・」

 「は、はいッッ!」

  「覚えてろよ。このチョコの恨み、絶ッッッ対に、・・・はらすからな」

  このとき、ツナの顔が死人のように青ざめたのと、クラス一同が固まったのは、・・・言うまでもない。



  ——回想終了——




  〆 5月18日