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　　　標的８「うざいッッ！！」


　———ドドドドドドッッッッ！！！！

　室内なのに土煙を上げながら向かってくる人物が一人。

　「ゲッ！！　了平兄！！！！」

　そう鈴は叫ぶと、

　「じゃ、じゃあな！　ツナ、京子、武、それに隼人！」

　そう言ってその場から逃げようとする。だが、

　「鈴ンンンン！！」

　「！！　———うわあッッ！！」

　京子の兄、笹川了平が鈴に向かってジャンプし、そして———

　「！！　ちょ、放せよ！！」

　抱きついた。ツナたち（京子以外）はその様子をドン引きしながら見ていたが、了平はおかまいなしだった。

　「鈴！　４年ぶりだな！！　極限に心配してたぞォ！！」

　了平に抱きつかれ続けた鈴は———

　「・・・心配してくれてありがとお。けど・・・」

　———怒っている。

　「・・・・・・う　ざ　い。から、・・・放ッ、せッッッ！！」

　そう言って怒りのこもった右手で、了平に、

　「ぐほぉぁッッッ！！！！」

　右ストレートをかました。

　———ズドドドドォォンン！

　と、もの凄い音を立てて、壁に激突した。了平は頭から血を流しながらも、笑顔で

　「ふふふ。いいパンチだ、鈴！　どうだ、お前もボクシング部に入部し・・・・・・！」


　「うざいッッ！！」


　そう言って鈴はもう一発右ストレートをかました。

　「「「・・・・・・・・・・・・」」」

　ツナ、獄寺、山本の三人がポカンと口を開けてその状況を見ている、その横で

　「もう、お兄ちゃんと鈴たら、会えばいつもこうなんだから」

　「えっ！　いつもなの！？」

　と思ったが、そのツッコミを京子には入れず、


　———「鈴！　ボクシング部に入れ！」「しつこいッッ！！」ズドドドォォン
　

　と、ただただ繰り広げられている、その”いつも“の状況を見ているだけのツナたちだった。


　〆　７月５日