二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】白銀の風、黒の舞姫【リメイク中】 ( No.68 )
日時: 2012/10/11 20:06
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode

  標的3「全てを、包み込む」


 授業間の休み時間に京子からクラスのことについていろいろ教えてもらった。
 京子の親友、黒川花。私が睨んだ男子は、沢田綱吉。同じイタリアから転入してきた目つきの悪い不良男子は獄寺隼人、と言うらしい。それに、そのふたりと仲の良い山本武と言うヤツもいるとか。私が来る前に転校して来た、古里炎真、SHITT—P!・・・だっけ? がいるらしい。しっとぴーが個人的には見てみたかったんだけど、なんだか欠席みたいで姿を現していなかった。

 「ねぇ、キョーちゃん」
 「ん、何?」
 「なんかここのクラスの人たちってさー」

 ここで私は、笑顔を向けている京子に思ったことをそのまま言ってみた。

 「————変わった人多いよね?」
 「・・・・・・? なんで?」

 ・・・やっぱり京子(だけ)は自覚していなかった。まあ、他の人は思っているみたいだから私だけじゃなくてほっと一安心。

 「・・・おい、篠原が笹川のこと『キョーちゃん』、なんて言ってるぞ」
 「うわっ、マジで?」

 後ろから小声で話す男子の声が聞こえる。そんなおかしなコトだとは思ってもいなかったが、確かに、さすがに中学生もなると昔の呼び方は改めたほうが良さそうだ。

 「・・・それにしても篠原、こえーよな」
 「ああ。ま、そんな目に遭うダメツナも、運がないよなー」

 ううっ。心にグサッときた。そのことは触れないでおこうと思っていたのに・・・。

 「やっちゃった・・・・・・」
 「リン、どうしたの?」
 「京子ォォォッ!!」


 そして、今に至る。


 「ヤバイよね・・・。なんとかしないと絶ッッ対にヤバイよね」

 これ以上ないくらいの私の落ち込みように、京子は「えっ、なんで?」と言う。

 「だってあんなことしたんだよ!? 沢田にも悪いし、私に『チョコレート割れたぐらいで怒る人』っていう肩書きも付けられちゃってるよ、きっとッ!!」

 ・・・ちなみに、チョコレート持ってきてることがばれたんで、あの後たっぷり先生に怒ラレマシタ。

 一人で騒ぐ私に京子はいつも通りの落ち着いた口調で、

 「・・・でも、謝ればツナ君、許してくれると思うよ?」

 そして笑顔を向ける。
 ・・・ここまで京子を言わせるくらいの、沢田綱吉という人物は一体どういうヤツなのか、少し気になってきた。

 「・・・・・・よしッ」

 私は腹をくくった。こうなれば早く謝るしかない。じゃないと私はいつまでも『チョコレート割れたぐらいで怒る人』という看板を背負うことになる。それだけは、どうしても避けておきたい。これからの生活のためにも。

 「沢田に謝ってくるよ」

 私がそういうと京子も、一緒に着いていってくれると言った。

 「アイツらなら、屋上にでもいるんじゃない?」

 そう言ってくれた花に「ありがとう。いってくるね」というと、「がんばりなさいよ」とでも言ったかのように手を振ってくれた。


     ◇◇◇◇◇


 屋上の扉の前に着くと、4人ほど話し声が聞こえた。

「はああ〜」
「まあ、まあ。そんなにため息つくなよ。ツナ」
「や、山本ぉ」
「そうだよ。ツナ君。話し合ってみたらいいと思うよ」

 ・・・? なんの話をしてるんだろう。もうちょっと聞いていたかったが、京子が扉を開ける。

「エンマも。・・・そうだよな、オレ頑張ってみるよ」
「何を頑張るの?」
「「「「うわッ!」」」」

後ろの扉からいきなり声がしたので驚いく4人。沢田と獄寺がいる。あとの二人はさっするに、黒髪のいつも笑顔を向けていたヤツが、山本。赤髪で、顔に絆創膏を貼っているやや暗めのヤツが古里だろう。

 私はふいに京子の後ろへと隠れる。

「いや、な、なんでもないよ。京子ちゃん!」
「お前ら何しに来たんだよ」

獄寺は京子の後ろにいる私を鋭い目つきで睨む。京子はその目線を気にしていないのか、

「えっとね。リンがツナ君に・・・」

と、普通に話し出した。ある意味すごい。
私の名前が出ると、沢田はビクビクしている。たぶん、(えぇ! オレ何されるの!?)とおもっているんじゃないかな。京子は後ろにいる私をを見ながら言った。

「———謝りたいんだって」
「へッ?」

 沢田は意外そうな声を出した。私は声を絞り出して言う。

「・・・さっきは悪かったな、沢田。アンタのせいにして」

 思ったより小さい声しか出なかった。思わず顔を沈める。そんな私に沢田は

「いや、いいよ、そんなこと。オレも机をちゃんとしておけばよかったんだし・・・」

焦ってフォローをする。いいヤツかもしれない。そして、

「おわびにチョコ買うからさ」

沢田の言葉に、ピクッと耳が動いた。そして思わず顔を上げる。前言撤回。やっぱりいいヤツだ。
 沢田は私の表情を見て驚いていた。たぶんそこには、幼い子どものように目をキラキラさせ、満面に笑みを浮かべていたんだろう。だってしかたない。チョコをおごってくれると言ったのだから。

 私はチョコレートが大好きだ。いや、大大大好きだ。世界中の食べ物がチョコに変わってもいいくらいに。そんな『チョコ大好き人間』の私は、思わず大声を張り上げる。

「マジで!? 約束だぞ!」

 その瞬間、私はチョコばかりに意識が回っていたため、定かではないが、沢田の頬が紅く染まったように見えた。たぶん、気のせい。

「やったね、鈴。仲直りしたね」
「やったな、ツナ。仲直りしたじゃねーか」

京子は私に、山本は沢田に言う。
 うん。よかった。本当によかった。

 このとき、私はとても嬉しくて有頂天になっておりり、すっかり、あのことを忘れそうになっていた。


  〆 10月10日