二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】白銀の風、黒の舞姫【リメイク中】 ( No.80 )
日時: 2012/10/13 21:47
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode


  標的6「直感と、鈍感」


 学校の案内も兼ねて、落とし物を捜索すること数十分が経過した。昼休みはもう終わりに近づいている。

「一通り見回ったけど、・・・見つからないな」

沢田がため息をつきながら言った。

 「見つからないか・・・」

 まあ、小さいからそう簡単に見つかるとは思わなかったけど・・・。そう呟き落ち込む私に沢田が、

「大丈夫だって! 見つかるよ。鈴の落とし物」
「そうだぜ。まだ行ってない所もあるしな」

山本も言う。
 「そんな場所あったっけ?」と沢田が聞くと、代わりに獄寺が重苦しい表情で言った。

「あの戦闘マニアのいるところですよ。10代目」

沢田はその人物を思い出したのか、一気に顔が青ざめる。そして力なく、その人物のいる場所を呟いた。

「・・・・・・応接室か」

・・・応接室? 応接室と言えば来客に対応するあの部屋のことだろうか。『応接室』、と言ったら、校長が来客にお茶を出すイメージしか私はない。
 そんな応接室に何でそんな怖がる必要があるのだろうか。私は隣にいる京子と顔を見合わせ、首を傾げるばかりだった。


    ◇◇◇◇◇


 廊下の向こう側に、『応接室』とかかれた部屋を見つけると、

「ここが・・・応接室か。早く中に入って探そうぜ」

そう言って私は沢田達を急かす。扉の前まで早く行こうとすると、

「ね、ねぇ、鈴。さすがにここに落とし物はないでしょ」

 何故か無謀なことをするヤツを説得するようなカンジで沢田は言った。それをアシストするように獄寺が口を開く。

「そうだぜ。だいたい、どこで落としたんだよ」

この問いに私は一瞬も迷うことなく、
「たぶん校門のところかな」
とサラリと答える。だってあの朝のことは忘れられないしね。私は校門のところでこけたときのことを思い出す。それに、あの人ともあったし・・・。

「えぇ〜っ! じゃあ校門のところ探せばいいんじゃないの!?」

沢田が大声を出して言う。まあ、普通はそう思うかもしれないけど、

 「いや。それは、ない」ときっぱり即答する。
「なんでッ!?」

 いや、なんで、って言われても・・・、

「・・・・・・あれ、動き回るから」

 私は言う。当たり前じゃん。一生動かないことはないと思うし。すると沢田はまた小声で隣に話しかける。

「————・・・! ってあれ!? 獄寺君ッ!?」

沢田は隣に話しかけていたが、獄寺がいないことに気がつくと、辺りを見回す。すると、下にしゃがみ込んでいる獄寺を見つけたようだった。獄寺はメモを取っていて、ぶつぶつと何かを呟いている。

「———やっぱり新種のUMA(ユーマ)しれないな。灰色で、小さいヤツなんていなかったはず・・・。よし、じゃあ、さっそく部屋に忍び込んでUMA(ユーマ)を・・・———」
「あの、獄寺君?」

 そんな獄寺に沢田は声をかける。
 話の内容はよく聞こえないし分からないが、さっきから『UMA(ユーマ)』という単語がよく聞こえている。

「じゅ、10代目! いや、その、けっしてUMA(ユーマ)・・・じゃなかった、篠原の落とし物を捕獲しようなんてことはしてませんよッ!!」

獄寺の話を聞き、沢田はドン引きしている。
 ところで、『10代目』ってなんだよ・・・。まさか『あのこと』と関係しているわけじゃないよな。いや、ありえない。こんな普通の中学生が『あのこと』に関係しているはずがない。・・・絶対に!

 すると、ふいに後ろから声が———


 そんなことに思考をめぐらせていたのもあるが、後ろに人がいることに全く気がついていなかった。いや、気がつかないのも無理はないかもしれない。なぜなら————


「ねぇ、君たち。そこで何騒いでるの」

そこにいたのは、

 黒髪で、制服は学校指定のブレザーではなく、旧服の学ランを肩に羽織り、左腕の袖には『風紀委員』の腕章をつけている人物。

「ヒ、ヒバリさんッ!」
「キョーヤさん!!」

 沢田と私は声を上げる。

 この並盛中学校の風紀委員長、雲雀恭弥さんが立っていた。


 このとき、私は、身の危険を感じた。
 なぜならキョーヤさんが、(応接室の前で騒いだこともあったのか)不機嫌な顔をしていたからである。
 それが動物的直感と、あの時のことを組み合わせて考えた結果だ。

 ————今すぐ逃げ出したい。
 そう全身で叫びながらこの瞬間を過ごしていた。

 
  〆 10月13日