二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】白銀の風、黒の舞姫【リメイク中】 ( No.83 )
日時: 2012/10/15 21:57
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode

  標的7「心の温度の、違い」


 ————ドクッドクッドクッ・・・
 ヤバイ、心臓がこれ以上ないくらいに脈打ってる。

 ・・・落ち着いて。今の状況を確認しよう。

 現在地:『応接室』前
 後ろには:京子
 隣には:沢田、獄寺、山本
 前には:・・・————

 ————不機嫌そうなキョーヤさん。
 
 今の状況:・・・ひじょーに、ヤバイ

 体中に鳥肌が立ち、顔には冷や汗がたくさんでている。そんな緊急事態モードの私に気がついたのか、キョーヤさんの視線がこちらへと向く。

 「・・・・・・キミは」
 「・・・きぇ、今朝ぶりですッッッ。き、キョーヤさん」

 緊張と、一種のパニック状態の私。あ、噛んじゃった。
 すると横から沢田の声。

 「えっ、鈴はヒバリさんを知ってるの!?」
 「う、うん。朝にちょっと、ね」

 私は力なく言う。この顔(今にも気絶しそうな顔 or 死人のような顔のどちらか)を見せないよう、無理矢理笑顔を作ろうとする。が、頬がピクピクと痙攣し、引きつる。今の顔がどんなふうになっているのかは、想像したくも、ない。するとそんな状況の私を見た京子が説明する。耳打ちで。

 「ツナくん。鈴はね、昔から年上の人が苦手なの」

 あれ、京子さん? 沢田に耳打ちしているなずなのに、私の耳にも聞こえているのは気のせい? 沢田は納得したのか、

 「なるほど、それでヒバリさんから離れていってるんだ・・・」

 そう言われ、気がつくと、足が一歩一歩キョーヤさんから離れて行っている。体が『年上』のヒトを拒絶反応を起こしている。ああ、今すぐ走り出してこの場から逃げ去りたい。
 しかし、キョーヤさんは私を呼び止める。

 「篠原鈴。コレは———キミのなのかい?」

 キョーヤさんは右手に何かを握っていた。そして、何かを握っている右腕を私の前に突き出す。私は恐る恐る、震える両手を広げ、受けとる形をつくる。握られていた右手が開かれる。私の両手に落ちてきたそれは———

 「アランチャ!」

 灰色の毛並みをした、人からみればハムスターのようなものだった。しかし、ハムスターではない。何の種類だか本当に忘れてしまった。こいつの大きさは15cmほど。

 「・・・ねぇ、鈴。それが・・・落とし物?」

 沢田はこいつを指差しながら言う。

 「ああ、こいつだ。”アランチャ“っていうんだ」

 アランチャを見た獄寺は、舌打ちし、声を上げる。

 「んだよ。UMAじゃなくてモモンガかよ!」

 そうだ! モモンガだった。すっかり忘れてた、まだ若いのに・・・。

 「たしかに、モモンガなら空を飛ぶね。ていうか・・・」
 「かわいーーー!!」

 京子が触りたそうだったので、アランチャを京子の手の平にのせる。アランチャは人なつっこい性格なので、逃げようとはせず、おとなしく、ちょこんと座っていた。アランチャをつついてみたりする京子。確かにアランチャもカワイイが、私は京子もカワイイと思う。それは沢田も思ったのではないだろうか。
 すると、キョーヤさんが去ろうとする姿が視界に入った。

 「あの、キョーヤさんッ! ありがとうございました。・・・アランチャを拾ってくれて」

 私は震える声を出しながら言う。

 「・・・別に。その小動物が勝手についてきただけだよ」

 キョーヤさんはは一息おくと、

 「篠原鈴。その制服は校則違反だ。明日までに直してこないと・・・———咬み殺すよ」

 そう言ってキョーヤさんはトンファーを出し、今にも咬み殺しそうな殺気を放つ。痛い、痛いですッ、キョーヤさん!!

 「ヒィィィィ! は、はい! 了解ですッ!!」

 私は叫び、敬礼をするようなポーズをした。そうするとキョーヤさんはトンファーを下ろし、応接室へとの中入っていった。
 やっぱり、この服装はダメか・・・。ちなみに今の服装は白シャツ、ネクタイ、ズボンという並盛中の普通の男子の制服だ。明日からあの格好で行かなきゃダメなのか・・・。そのことより、さっきの恐怖が蘇る。
 こわかった・・・、こわかったよぉ〜。緊張が解け、肩を下ろす。ああヤバイ、今にも泣きたい気分だ。その気持ちを吹き飛ばすため、

 「ふうぅ。やっと一件落着!」

 と、息を吐き出しながら元気よく声を上げた。そんな私の様子を見て安心したのか、沢田たちも「よかった、よかった」と呟く。

 「・・・・・・!」

 なんだろう。悪寒が走った。キョーヤさんはいなくなったはずなのに、冷や汗が出る。

 「? どうしたの」

 沢田が心配してくる。でも、「なんでもない。大丈夫」とは言えない。嫌な、予感しかしない。

 すると、その予感はすぐに当たった。

 ———ドドドドドドドドッッッッ!!!!

 いきなり、廊下を走る、いや、高速で移動する音が聞こえた。しかも、こっちに近づいてきている。音のするほうを見ると、(廊下なのに)砂煙を上げて走ってくる人影が見えた。
 みんなも振り向く。砂煙が裂け、走ってくる人物が見えると、一同は声を上げた。

 「お兄ちゃん!」
 「お兄さん!」
 「芝生頭!」
 「先輩!」

 京子、沢田、獄寺、山本が叫ぶ。

 ああ、当たらなければよかったのに。どうして私の予感はいつもこう、悪い方しか当たらないのだろう。なんなら、チョコレートがもう一枚もらえるヤツとかが当たればいいのに。

 私はそんな後悔や、願望を胸に抱きながら、冷や汗をかき、その人物の名を叫んだ。

 「ゲッッ!! 了平兄!!!」


 ————神様。なぜ転校早々、こういうことしか起きないんですか?


  〆 10月14日