二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN!】白銀の風、黒の舞姫【リメイク中】 ( No.85 )
日時: 2012/10/17 13:18
名前: 月那 ◆7/bnMvF7u2 (ID: IsQerC0t)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode

  標的8「様々な、愛情表現」


  ———ドドドドドドッッッッ!!!!

 ああ、何故室内なのに土煙が立っているんだろう。これは幻覚? いや、あたしの目がおかしいんだ、きっと。だってその走っている人物は、私がこの世で3番目に苦手な人なのだから。

 さて、ここでおさらい。私の苦手な人種は3つある。
 1つ。年上の人。私の年齢より1歳でも上だったらアウトだ。
 2つ。バカ(アホ)な人。頭が、もう救いようのない人だったら尚更アウ・・・以下略。
 3つ。熱血系な人。その人と一緒にいるだけでこっちの体力、いや、寿命が削られそうで・・・以下略。

 その3つをらくーにクリアしている人物を、私は一人だけ知っている。いや、他にも周りに結構いるかもしれないけど。

 私はその人物の名前を、ある意味『尊敬』の意味も込めて叫ぶ。
 「ゲッ!! 了平兄!!!!」

 笹川了平。鼻に貼られた絆創膏がトレードマークだ。私の”いとこ“であり、大好きな京子の兄でもある。聞けばこの並盛中のボクシング部主将をやっているらしい。そんな彼の座右の銘は『極限』。まあ、口癖でもある。単純に私から言わせれば、熱血バカだ。=(イコール)、————私の最も苦手とする人種だ。
 普通そんな人を見たら逃げるだろう。なので私も逃走を図る。

 「じゃ、じゃあな! ツナ、京子、たけちゃん、それに獄寺!」

 そう早口で言い終わると、その場から逃げようと後ろを向いて、スタンディングスタートの体制をする。だが、

 「鈴ンンンン!!」
 「!! ———うわあッッ!!」

 了平兄は私に向かってジャンプしてきた。もはやその運動能力、人間ではないと思う。そして———

 「!! ちょ、放せよ!!」

 抱きついてきた。沢田たち(京子以外)はその様子をドン引きしながら見ていたが、了平兄はおかまいなしだった。

 「鈴! 4年ぶりだな!! 極限に心配してたぞォ!!」

 ・・・これが4年ぶりの感動の再会? いやだ。今すぐに止めて欲しい。そして何故日本なのにハグをしてくる? 実は了平兄はイタリア人か? 
 そんなことを考えるくらいに抱き疲れた。この了平兄なりの愛情表現(?)は京子だけで勘弁してほしい(いや、本当はダメだけど)。キョーヤさんという年上のひとに会って私はストレスでも溜まっていたのか、

 「・・・心配してくれてありがとお。けど・・・」

 ————何故かイライラしていた。

 「・・・・・・う ざ い。から、・・・放ッ、せッッッ!!」

 そう言って怒りのこもった右手で、了平兄に、

 「ぐほぉぁッッッ!!!!」

 右ストレートをかましていた。
 ———ズドドドドォォンン!
 と、もの凄い音を立てて、壁に激突した。さらば、了平兄。
 そう飛んでいった方向に手を合わせ、逃走を続けようとする。が、「・・・ふふふふふふ」と不気味な笑い声。後ろを振り返ると、了平兄は頭から血を流しながらも、笑顔を浮かべていた。すると、瞳を熱血の炎で燃やし、

 「いいパンチだ、鈴! どうだ、お前もボクシング部に入部し・・・・・・!」
 「うざいッッ!!」

 本当にうざかったので、毎度言われている言葉を打ち切り、私はもう一発右ストレートをかました。

 『毎度』と言ったのは、これが幼い頃から会う度に続けられている行動だからだ。その頃は、まだ京子とかが止めに入ったが、今くらい衝撃的? じゃないや、暴力的? ・・・ていうか激しくなると、止めるのも難しくなる。なので今回などに至っては収まるのを待つしかない、というのがこの状況だ。

 「「「・・・・・・・・・・・・」」」

 沢田、獄寺、山本の三人はポカンと口を開けて、この状況を見ていた。確かに普通の人が見れば、この状況で平然といられるはずがない。しかし、その横で

 「もう、お兄ちゃんと鈴たら、会えばいつもこうなんだから」

 京子はハラハラしながら私と了平兄のやり取りを見ていた。・・・確かに平然とはしていないけど、心配そうに見ているのはちょっとふつうじゃないかもなぁ、・・・と、私は思う。

 「えっ! いつもなの!?」
 という顔を沢田はしていたが、それを京子には言わず、

 ———「鈴! ボクシング部に入れ!」「しつこいッッ!!」ズドドドォォン
 と、ただただ繰り広げられている、その”いつも“の状況を見ているだけだった。


 しかもこのやり取りがあと5回ほど続けられた。


  〆 10月15日