二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: Notre monde.〜僕らの世界〜【イナGO】 ( No.3 )
日時: 2012/08/03 22:12
名前: 異識 (ID: JzqNbpzc)
参照: 元・琴葉です!

 第一章 棺を引く少女


  プロローグ


 その日の空は、今まで見た中でも一番綺麗だった、と思う。
 少年はぼうっと空を見上げていた。
 ここは河川敷。
 真下にあるグラウンドでは、小学生くらいの男子が呑気にサッカーしている。


「……」


 やや青みがかった黒髪に、つり気味の金瞳。
 少年の名は——剣城京介。

 
「……」


 京介は、空を見上げては何故か溜息をついていた。


「嫌になるくらいに綺麗な空だな」


 そして、哀しそうな顔で笑う。

 世界は廻る。

 この、空の下で。






「……」


 少女は空を見ていた。
 銀色の長髪が、薫風にふわりと舞った。


「——通りませ……」


 通りませ 通りませ
 行かば 何処が細道なれば
 天神元へと至る細道
 御意見御無用 通れぬとでも
 この子の 十のお祝いに
 両のお札を 納めに参ず
 行きは良いなぎ 帰りは怖き
 我が中怖きの——


「通しか な—————」


 いつか、母に教えてもらった歌。
 極東に伝わる歌なんだよ、と優しく教えてくれた。
 少女の背中には、その母の形見。


「——始める。ここから。もう一度——」


 少女は少しだけ笑ってみせる。





———これは、終わりの始まりの物語———