二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   宵闇葬送、雪月花《小説集》 ( No.12 )
日時: 2012/03/16 20:53
名前: 天音 (ID: /yMGlo86)
参照: 天咲さんが風邪を引いたようです。







「うっわぁ……ねえ、大丈夫?生きてる?」

うん、大丈夫ではないけど生きてるから。生きてるから、お願いだから濡れタオルで顔を覆おうとしないでくれやしないか?
いや、死ぬから。それこそ生きてられないから、マジで。


朦朧とする意識で思う俺の気を汲み取ったのか、視界からスッと引かれた手、額を冷やしていた濡れタオル。次いで現れた見慣れた青い瞳、結祈自身は『黒と青とで濁ってて汚い色』と言うが俺は結構綺麗な色だと思う。
そんな青で宿舎の自室、もっと言ったらベットの上で寝転がる俺を真剣な顔で見下ろし幾秒後、少しばかり眉根を下げる結祈。

あ、もしかして心配してる?、と思ったも束の間。
視線は何故か手元のタオルに落とされ、もう幾秒。奴の口を突いて出たのは、




「……窒息させるには水分足りないな、コレ。」

もうお前帰れよ。


健康体だろうと、なかろうと、自己の安全は最優先にするべきだろう?







「三十八度七分……下がらないな。」

奇しくも大絶賛発熱中の俺の口から体温計を取り上げ、そう呟いたのは鬼道。つか口に咥えるタイプの体温計なんて生まれて始めて見たぞ俺。

心配そうに俺を見下ろすチームメイトにマネージャー。大丈夫とか心配すんな、とか言うべきかもしれないが御生憎様喉の調子上、声は出ない。かと言って筆談するにも手は重くて動かないし、その前に怠過ぎて体が起きない。
余りにも役立たずな自分の体に腹が立つ。

「……何時も僕に体調管理がどうこう言っといて自分がそのザマ?馬鹿だろ奏始、君、馬鹿だろ。」

煩い黙れ馬鹿野郎。飯食えば直るような単純なお前と違って俺や周りの奴はちゃんと人間の体構造してんだよ、人外は口出しすんな失せろ。

……と言ってやりたいがやはり残念な状態の喉にそれは重荷だったらしい。
発声する為に吸い込んだ空気でそれはそれは盛大に噎せ返り、毒づく為に僅かに起こした上半身はばふん、と音を立て真っ白なシーツに沈む。

「あ、天咲さん!?」
「ちょっと、大丈夫かい!?」

上がる上がる、心配を色濃く含んだ声。わらわらと寄ってくるチームメイトに目頭が熱くなる。
あぁもう優しさが重いよ、嬉しいけど。
この際だ、部屋の角で壁に凭れ掛かり、一人詰まらなさそうに舌打ちしてる馬鹿は視界から外してやろう。ザマァ見やがれ日頃の怨みだ。

そんなことを思ってたらカチンと合った視線。感情の無い青、何時もすぐ顔に出るため滅多にお目にかかれない結祈の無表情。

「どうしたの?」

心配そうに聞く吹雪に対し、ゆるりと頷き返事に代える。
ふと傍から差しだされた喉飴、それを乗せた手の持ち主、音無には感謝の気持ちを込めて火照った顔で笑顔。
あ、音無の顔も赤くなってる。風邪移したか?あと突き刺さる嫌な視線が増えた気がした。そしてバキ!、と嫌な音と共に元体温計らしき鉄屑が頭の横に着地。
鬼道、その体温計すら粉砕する元気を俺にくれないか?、と切に願う。

そして急に慌て始めたチームメイトを横目に、音無から頂戴した喉飴を口に含んだ。


「鬼道、落ち着け!!危ないからぁ!!」
「鬼道さぁぁぁぁああああん!!」
「今は本当に駄目だから!死ぬ!!体力落ちてるから!!」

ガタガタと揺れる視界。何かよくわからないが鬼道、暴動はよろしくないと思うぞ?


口内で広がる爽やかな果物の味に自然と口元が綻んだ。






「ほんっと……鈍感だねぇ。」

はぁ、と落ちたため息。それは一体何に対してかわからないけどね。

鬼道、暴れるのはどうかと思うよ?
悪いとは思わないけどシスコンは引きます。ええ、それはもう全力で、つかing形で引いてるもん。
あと、自覚しろ鈍感。音無が可哀想だろうが!

はてさて、奏始が音無の気に気が付くのが速いか、何処かのシスコ……失礼、変態兄様に潰されるのが速いか。

「……んま、僕には関係ないけど。」


そういうことだしまあ、良いんだけど。
とりあえず周りにちやほやされつつちょくちょく視線で僕を馬鹿にしてくる奏始は腹立つから、殺っちゃっていいと思うよ?鬼道。

え?あぁ大丈夫、証拠隠滅なんてお手のものさ!!




『視線で語らうモノローグ』

(あ、最近の喉飴って結構美味いのな。)
(いいぞ鬼道もっとやれ。)


@

ギャグに走ろうとして玉砕。
なんで苦手な甘やらギャグやらばかり書きたくなるの、ねぇ。
んで、そんなこんなで奏始の相手は音無にしようかな、と。
ただそれだけの為に書いた短編。

つまらない上に読みにくいとか何事だ。((←