二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   宵闇葬送、雪月花《小説集》 ( No.23 )
日時: 2012/04/13 20:42
名前: 颯 (ID: w32H.V4h)





一つ言うと、人の世って言うものは案外奇跡ってもんが多くて。

好きな言い方ではないけど、今此処で僕が生きていることとかなんて正に奇跡なわけで。だが奇跡が必ずしも良いものとは限らないのは一体どれ位の人間が認知しているのだろうか。
考えて見れば分かることだ。
例が悪いが墜落した満員の旅客機からたった一人だけ助かったとする。何の文句も無い、正に奇跡だろう。
では逆さまに考えてみる。例えば墜落した満員の旅客機からたった一人、自分だけ命を落としたら?

まぁ簡潔に言うならそんな御都合主義もいいところの奇跡なんて起こりやしないってこと。精々有っても偶々とか偶然、運が良かった悪かった、と片付けられるだろう。

なら、

「……うん?」

これはまさに奇跡だろう。
それも飛び切り上質で世界が羨む程、




「ちぢんで……る?」

タチの悪い。






「……どうしよ、これ。」

ベッドの上、小さくなった手で同じく小さくなった頭を抱える。

小さくなった。まぁそれは良しとしよう……いや、全くもって宜しくないけど。
取り上えず今考えるべきは元の、中学二年の体に戻ることだ。しかしながら面倒なことにはしたくないから、この事実を知る人間を極力少なくしなければならない。

脳内にばら撒いたのは、この宿舎のメンバーの性格や頭脳値そして万が一、助けを請える友人であろう人達の顔。

枕元にあった携帯に手を伸ばし、瞬時にメールボックスを開く。

「……まず、そうしには言わないとな。」

手が小さくて押しにくいこと、この上ないボタンにイライラしつつ。
必死になって打ち込んだ文字は十にも満たないが、いた仕方ないだろうと思い奏始の携帯に送信。

“はやくこい、ボケ。”

「よし……あまりきたいはできないけど。」

何時もしっかりしてる癖に肝心なところで足を引っ張る、と言うより頭から転倒して前を歩く輩に飛び込み、被害拡大に誰よりも貢献する従兄弟のことだ、油断はもとより期待もしてない。


「だって、いくらがんばっても……ねえ?」

所詮、奏始だ。


さて、ではその奏始が来るまでにやらなくてはならないことは?

バサと布団を捲り、床に着地。改めて思うが小さい体は不便で仕方ない。
残念ながら縮んだのは体だけで服のサイズは変わらなかったので、来ていたパーカーがワンピースになってしまった。だぼだぼの生地が床に擦れ、小さな音を産んだ。


「あーもー、しね。くたばりやがれ。」

誰に言うでもなく、そう吐き出す。
妙に響きを持たない声に、少しばかりため息が出そうだ。




『朝、僕がぼくになった。』

(冗談はおよしよ、……流石にこれはキツイ。)


@

まぁ、うん。一人称視点は大層書きにくいなぁ、と。だっていつも三人称だし。たしか←

正直なところ結祈より奏始のほうが扱いやすい。