二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 刹那の欠片 【REBORN!】 リメイク ( No.15 )
日時: 2012/04/27 18:13
名前: 葵 ◆CTx8mbrkTA (ID: ZEuRnT3o)

 02話 新任教師来る!


 鬼の居ぬ間に洗濯、とはよく言ったものだ。
 ツナ達は雲雀のいない間に校門から学校へと侵入し、遅刻はなんとか……ギリギリのギリギリで免れる事が出来た。
 山本が暢気に言うところによると、どうやら新しく来る先生がいるだのどうだのこうだので、先生が来るのが少し遅れているらしい。
 辺りの男子がざわめいているのはそのせいか、とツナはようやく理解する。


「……にしても……」


 ふと、ツナの意識は先程颯爽と現れては駆け去って行ったロキ・ライトルへと向けられる。
 彼は黒曜中の生徒で、わざわざここら辺に現れる必要は何も無いのである。
 しかも彼は結構前々から雲雀にちょっかいをかけては追いかけ回されている……わざわざここを通る必要があったのだろうか。
 「うーん」と首を傾げてはツナはまぁ良いか、と心の中で呟いた。
 と同時に、ガラッと音を立てて扉が開く。
 どうやら、先程まで来ていなかった先生が、ようやくやって来たらしい。
 ツナは急いで席に着いて、先生を見つめた。


「今日は多分もう聞いてると思うが……新しい先生を紹介するぞー」
「先生ー、女の先生ですか!?」


 クラスの男子が、担任に向かって笑い混じりにそう聞いた。
 先生はそれを半ば無視する様な状態で、扉のすぐ側に控えているであろう先生に手招きをすると、テンポ良くハイヒールの独特な音が響く。
 「女だ」と思わずクラスの大半の男子が身を乗り出す。
 ……と同時に、唖然とした。
 一瞬だけ、クラス中が静まり返る。
 息を飲んだ、という表現が正しいのではないのか、と思えるほど……今皆の目の前にいる女性は————……。


「…………綺麗」


 一人の女生徒が、呆然としながら呟いた。
 それが引き金となってか、辺りがもう一度ざわめきを取り戻し始める。


————俺が好きなのは京子ちゃんだけど……この人……凄く、美人な人だな……。


 少し古い語で言えば、彼女は“マドンナ”という存在なのだろう。
 “高嶺の花”という語もピッタリかも知れない。
 いや、結局は京子の様な存在なのだが、京子よりも近寄り難さを醸し出す雰囲気がそういわせるのかも知れない。
 彼女は黒山 夜、と非常に達筆な字で黒板に名前を書いた。
 書いてから、クラスの皆の方を向く。


「……私は黒山 夜です。これから一ヶ月……このクラスを受け持つ事になりました」
「黒山先生の得意科目は英語だそうだ。英語の先生が急病で入院なさる事になった為、無理言ってお越し頂いた。皆、失礼のない様に!」
「はーい」


 担任が軽く注意するも、皆の興味は明らかに夜に向いていた。


「さて。では黒山先生、後はお願いします」
「はい」


 担任が「粗相のないように!」ともう一度念を押してから、教室を出て行った。
 凛とした佇まいで、彼女は一歩前へと踏み出す。
 ふわりと、腰辺りまで伸びる黒髪が風もないのに靡いた。


「暫くこのクラスを受け持つ事になりました。……これからよろしくお願いします」


 ニコリと笑みを浮かばせて、彼女はそう言った。