二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ポケモン】果てしない旅路 リメイク【参照100感謝】  ( No.28 )
日時: 2012/03/05 17:18
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

第三話 オールの実力

「お前……ポケモントレーナーか?」

 名も知らない少年が、声をかけてきた。
 紺のフリースを身にまとい、夕日のような緋色の髪を持つ少年に、思わず私は惹かれた。
 ただ、視線が凄く気になった。氷のように、冷たい視線。まるで周りを貶めるかのような視線。
 その視線に、思わず私は一歩、後ずさりをする。
 少年はフン、と鼻で笑って言った。

「何だ……ここらのポケモンもポケモンだが、トレーナーもトレーナーだな。弱い、クズ共め」

 その言葉に、思わずカチンと来た。
 初対面の人間に対してその態度は何?
 なので思わず私は言い返した。

「クズって言ってるけど、アンタ何さまのつもりなの? 私たちの事知ってんの?浅い見方で物事を考える青二才めが」

 その言葉に、少年の柳眉がピクリ、と動いた。

「私たちのことを知ってるって言うなら、アンタ誰? 少なくても私はアンタのこと知らないわよ? あ、ストーカー? ストーカーなの? うわ、怖ッ! フフ、私もモテたものねー」

 私はおどけたように言う。勿論、わざと。
 少年は全てに触ったのか、だんだんと表情を変えて行った。怒っているようだ。だが、何も言い返さないで居る。言葉が上手くでないようだ。
 その様子を見て、私は思う。—————小心者め。
 少年にとって、居心地が悪くなったのか、数十秒の沈黙の後、足を動かした。

「……まあいい、お前らの相手をしている暇は無い」

 そう言って、その場を立ち去ろうとする少年。
 その時だった。

「待てよ」

 オールが、少年の腕をガシッと捕まえた。
 少年は驚いて手を振り払おうとしたが、空手で鍛えられたオールの腕がそれを許さない。

「いきなり初対面に向かってその態度はねえだろ。謝れよ」

 オールは淡々と言い分を言う。その声は落ちついていたが、長い付き合いである私には怒っているのが伝わった。

「……離せ」
「言葉が伝わってねえのか? 謝れっつってんだよ」

 二人とも表情と声は落ちついているが、険悪な空気が流れている。
 まずい、と私は思った。オールは何時もは優しいが、怒る時は怖いのだ。電柱を根こそぎ持って振り回すほど。
 そろそろ止めよう、そう思った時一つのモンスターボールが目に映った。少年の腰に、ボールが付いている。あのボールは、確か——。

「貴方、そのポケモンどうしたの? そのポケモン、ウツギ研究所のチコリータなんだけど」

 その言葉に、邪険な空気が少しだけ強まった。

「……そうか、お前がウツギ研究所の強奪事件の犯人だな?」

 オールの声音が、怒りを露わにしている。

「だったらどうする?」

 少年は至って毅然と返す。

「返しやがれ、てめーのせいでウツギ博士がわーわー呻いているんだよ」

 オールも負けじに言い放つ。・・・オール君、口調がヤクザに変わってます。

「……お前らみたいなよわっちいトレーナーじゃ強くなれねえだろ」
「んだと!?」

 口調がだんだんと荒れてます。ああー……だんだんと険悪に……。

「……テメエ、礼儀を知らねえ見てぇだな。表へ出ろ。ポケモン勝負だ」
「……フン。ヤサ男と思っていたがな。殺る気か」
「ホントは殴り合いでやりてぇけどな。ポケモン勝負の腕をクズ呼ばわりされちゃー、ポケモン勝負で示すしかねえだろ」
「……受けて立つ」


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