二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ポケモン】果てしない旅路 リメイク ( No.6 )
- 日時: 2012/03/02 17:56
- 名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)
何て思っていると、
『嘘よ嘘。オールがコライユを置いていくワケないじゃない』
オールの足元に、マリルのマリが話しかけてきた。
『だってオールはヘタレだもん、弱虫だもん、泣き虫だもん、臆病だもんー』
「うん、そーは言えるねー」
うんうん、流石オールの長年の相棒。オールの短所をよく判ってらっしゃる。
この世界には『ポケットモンスター』という生物がある。縮めて『ポケモン』。マリもポケモンの一種。
その存在は軽く五百を超え、私たち『ヒト』にとってはかかせないモノたちである。
私は何故か、他の人には聞こえない、その不思議な生物ポケモンの『声』を聞くことが出来る(遺伝子間違えたのかもしれない)。
当然(ここ重要)、私以外には聞こえない・・・のだが、やはり絆の力なのか、オールはマリの言葉だけは何となく理解しているようだった。
その証拠ほら、あそこで撃沈している。縦線すらも見えちゃってるよ。
「ヒドイヒドイヒドイヒドイ・・・・」
オールの声はもはや『銀●』の糖分を取っていない銀さ●のようだった。
おお、恐るべきマリの罵倒!聞こえてなくてもあれだけのダメージを与えるとは!
『さて、おしゃべりはこれぐらいにして、そろそろ行かないとマズイんじゃない?』
「あー、すっかり忘れてたー!」
マリの言葉に私はわざとらしく、とぼけた声を出す。
マリは落ち込んでいる(そりゃあれだけヒドイ罵倒を喰らえば)オールに向かって更に追い打ちを掛けた。
『ほら、ヘタレオールも早く』
「・・・だって」
私がマリの言葉を伝えると、今度は『銀●』の親八のツッコミのように、
「誰がヘタレじゃおんどれがアアアア!後で覚えときやがれェェェェェ!」
と、怒りが混じってシャウトした。
うん、やっぱ人をからかうのって楽しい!
さて、なんやかんやでウツギ博士の研究所に到着!『なんやかんや』のトコには突っ込まないでね!
サアア・・・と、風が吹く。ワカバタウンは風がよく吹く田舎なんだ。海に近いと言うこともあるだろうけど。だから、風力発電を一番利用している村なの。
「いやー、何にもないなー」
オールが呟く。
私はここ育ちだけど、オールは違う。五歳の頃両親をいっぺんに亡くし、三年間都会に居る親戚のなかを転々とたらい回しにされた。
コガネシティと比べると、やっぱ何も無いなあ、と私も思ってる。でも、何も無い所でも、私とオールはこの村が好きだ。やっぱり、私たちにとってはここは帰る場所で、故郷なのだから・・・。
「まあ、ワカバで有名なのはウツギ博士と風力発電ぐらいだからねー。二つしかないかなあ」
「は?何言ってるんだ、三つだろ」
『でしょ』
私が言うと、オールとマリがそんなことを言った。
「え?」
他に何があったっけ・・・?
私が不思議に思うと、オールは『名探● コ●ン』のように人差し指を立てて言った。
「お前はクルミちゃんと並ぶ有名な子役じゃねえか!」
・・・は?
その言葉に、私はただでさえ真っ白な頭の中が更に真っ白になった。
「・・・今、何とおっしゃいましたか?高校生探偵新八くん?」
「おーい、コ●ンと銀●が混ざってんぞー」
オールが軽く突っ込む。ってかピー音五月蠅い。
「えっと・・・何ておっしゃいましたか?」
「おーい、コ●ンと銀●が混ざってんぞー」
「いや、その前」
「いやー、何も無いなー」
「いや前行きすぎぃぃぃぃぃぃ!」
何時もは私がボケてオールが突っ込むのだが、今日は逆だった。オールが珍しくボケている。
「お前はクルミちゃんと並ぶ有名な子役じゃないか!」
「はい、そこ!」
私はストップをかけた。そして思わず恐る恐る聞いてみる。
「知って・・・たの!?」
「失礼な。幼馴染なんだからすぐわかるだろー。つーかワカバの人は皆気づいているって」
サラリと答えたよ、オールさん。
そして私に追い打ちを掛けるようにマリが言った。
『確か芸名は『サンゴ』だったよね』
「フランス語じゃあ、コライユは珊瑚の意味だからな」
そこまでバレてましたかッ・・!
つーかバレてたなんて・・・今まで必死に隠していた私の努力は一体・・・。
あまりの恥ずかしさに撃沈する私を見て、オールはケラケラと笑い、更に追い打ちをかけた。
「お前、人前で目立つこと極端に嫌うもんなー」
『あ、だから何も言わなかったのかー!』
「うわああああああああああああああああああああん!」
オールの言葉に納得するマリ。思わず叫ぶ私。
畜生、またからかわれた!今日こそは初勝利と思ったのに!
ぶーぶー文句を言うと、オールは反撃出来て嬉しいのか、ニタニタと笑いながらドアを開けた。
まー、ここまで醜態をさらされると、立ち直りも早いわけで、私もオールの後に入る。
薄暗い家の中、私は取りあえず大きな声であいさつした。
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