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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- きみのいちばん、 ( No.4 )
- 日時: 2012/04/25 18:06
- 名前: めーこ ◆RP5U9RTa.. (ID: RmDYGEG2)
月に照らされた彼の表情が、酷く痛々しかったのだけは覚えている。
「姉ちゃん、俺さァ」
嗚呼、言わないで、言わないで。
くしゃりと歪んだ表情と、きゅっと結ばれていた唇。ぽつりぽつりと紡ぎ出される言葉を聞きたくなくて、無意識のうちに手を耳の近くへ上げる。
耳を、塞ぐことは出来なかった。
「ずっと、姉ちゃんが好きだった」
「しっ、てる」
息が、詰まりそうな闇。
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ利央の瞳が此方を向く。視線がかち合う。申し訳なさそうに眉を下げて、利央は私の方へ一歩近づいた。
「スキ、とアコガレ、を一緒にしてたンだと思う」
「しってる、よ」
全部、全部。
利央が私へ向ける感情はただの憧れであり、恋愛感情を知らない利央はそれを好きだと勘違いしていたことをも、全部。
そんな利央に最近、好きな人が出来たことも全部全部知ってる。
——私は彼について知らないことは、無い。
「、利央の中で、私、いちばんだった?」
「……今も一番だよ」
利央はそう言ってゆっくり笑った。
私より大きな弟を、ぎゅっと抱きしめる。
「そろそろ、弟離れしないとね」
「その必要はないよ。準サンとかにあげるつもりないし」
ぎゅうと抱き締め返してきた利央が冗談めかして言うので私もくすくす笑った。でもほんとに、弟離れは重要なことだと思う。
自他ともに認めるブラコンだし、なあ。
「すきだよ、りおー」
「……俺も」
きみのいちばん、
寂しいけど、君の中でいちばんに成れていたのならば、
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