二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- その1 ( No.1 )
- 日時: 2012/06/17 18:15
- 名前: RE ◆8cVxJAWHAc (ID: A7lopQ1n)
「ぶっはあ、疲れたー!」
あたしは、自分の部屋の窓枠にしがみついて声を上げた。
ずるずると最後の力を振り絞って、身体を全部部屋に引っ張り上げて、床に倒れこむ。
も、もう動けません…。
「なんだよチョコ、なっさけないなあ。スタミナ不足!魔力うんぬんの前に、体力が足りてないぜっ」
仰向けに倒れたあたしの顔を、インストラクター魔女のギュービッドが覗き込む。
まあ、確かに体力が無いのは認めるけど…。
だって体育の授業とか、真面目にやったことないし。
「あほ、ばか、まぬけ、おたんこなす、すっとこどっこい、もやしっ子!そんなんじゃ、立派な黒魔女になれないどころか、将来太るぜ!」
ああ、またいつもの機関銃攻撃。
でももうだいぶ慣れたもんねっ。言い返してやる。
「ギュービッドさまこそ、いつもそうやって人のベッドの上でゴロゴロして、別フレ読んで。あんまり動かないと、太っちゃうよ」
「ふん、あたしは、インストラクター魔女だからいいの。それにほら、毎日お前にビシバシ指導して、ちゃんと消費してるじゃないか」
インストラクター魔女だからいい、って、どういうことなんだろう…。
それに、だったらその“ビシバシ指導”を受けてるあたしも、十分運動してるし!
さっきまでだって、飛行魔法の練習だー!とりあえず町を一周してこい!とか言われて箒と一緒に部屋から追い出されて、一生懸命飛んでたんだから!
サイクリングの時と違って、人に見られる訳にはいかないから、そこそこ高いところを飛ばなくちゃいけないんだけど、かと言ってあんまり高いと怖いし。
高さとスピードを上手く調節しながら、ギュービッドがいつのまにか用意した、普通の人には見えない“チェックポイント”に書かれた問題を確認して、それを覚えてくるの。
そんな聞くだけで疲れちゃうような飛行魔法訓練を、ついさっき、やっとこさ終わらせて帰ってきたってわけ。
それにしても、あたし、頑張ったと思わない?珍しく、真面目に練習してきたっていうか...。
「そうそう、忘れるとこだった!チェックポイントの問題8つ!ちゃんと全部まわって覚えてきたんだろうな?」
人には練習させておいて、課題を忘れかけるインストラクター…もうちょっと、しっかりしてください。
まあいいや、全問正解して、びっくりさせてやる!
☆
…の、つもりだったんだけど。
「ぶぁっかもーーん!問題文を覚えてきたのはたったの4つ、しかも正解してんのは更に半分のたった2つじゃないかぁ!」
ギュービッドの怒号が飛んでくる。
あたしは、正座をして、お説教を聞く体勢に。
うーん、覚えた気がしてたんだけどなぁ。
でも、よく考えると、箒のコントロールにも気を配りながら、問題文を暗記するって、無理じゃない?
「甘いっ!瞬間的な記憶力も大事なんだよっ!とにかく全てが甘い甘いっ!もっと練習しろーっ!」
はいはい、わかりました。
「それに何だ、2問って!全部3級までの問題だぞ、お前のレベルに合わせた復習だぞ!問題全部は無理でも、覚えてきた4問は、正解しなきゃいけないんだぞ!」
ギュービッドのお説教は続く。
うん、2問は確かに、あたしもショック。さすがに少な過ぎると思う。
「2級問題ならまだしも、復習だぞ、復習!テストが終わったら忘れていいとかそういうもんじゃないんだぜっ」
わかってますって。
「わかってますじゃないっ!軽いっ!反省が甘いっ!やる気が感じられない!最近、たるんでるんじゃないかっ」
ちゃんと今まで通りやってるよ…。
それにしても、今日は妙にお説教が長い。
ギュービッドから凄い不機嫌オーラが漂ってくる。
…何かあった?