二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

その2 ( No.5 )
日時: 2012/08/22 15:37
名前: RE ◆8cVxJAWHAc (ID: A7lopQ1n)

朝。
あたしは何となく違和感を感じて、ベッドから飛び起きた。
目覚まし時計を見ると、5時半。
あちゃー、朝練の時間、30分も
過ぎちゃった。
「ギュービッドさま?なんで今日は」
叩き起こさなかったの?と続けようとして、やめた。
部屋にギュービッドはいないみたい。
窓をみてみると、鍵がかかっている。
ギュービッドは多分、昨日からあのまま、帰ってきてないんだ。

昨日、めちゃくちゃ不機嫌オーラを噴出させていたギュービッド。
気になったあたしは、お説教が一段落ついたところで、なんでそんなにイライラしてるのか訊いてみた。
お前があまりにも出来ないヤツだからだよ!みたいな返事が返ってくると思ったのに、ギュービッドは、黄色い目を細めて、黙り込んだ。
それから、
「……何か、嫌な匂いがするんだよ」
と、呟くように言ってから、窓を開けて出て行ってしまった。
それで、あたしはというと、
…嫌な匂い?それって飛行魔法薬の事?
失礼な!ギュービッドさまが練習してこいって言ったくせに!
…みたいなことを考えて、頭にきたから、夜練をサボって、さっさと寝てしまった。

そうそう。それで目覚まし時計もかけてなかったんだ。
それでも、5時半に目が覚めるって、凄くない?
早起きが板についてきたって感じ。
あたしは一度伸びをすると、今日はオーバーオールに着替えて、部屋の掃除を始めた。
面倒くさいけど、昨日あれだけ怒られたんだし、形だけでもしっかりやらないとね。
…帰ってきてないフリして、ギュービッドさまがどこからか覗いてるかもしれないし。





結局、あたしが学校に行く時間になっても、ギュービッドは帰ってこなかった。
「いってきまーす」
玄関から出て、自分の部屋の窓を見上げたけど、窓際に人影は無い。
あたしがあまりにも出来ないヤツだから、新たなチェックポイントを増やしに行ったのかな。
それとも、新しい魔法書ドリルを手に入れに行ったとか。
…もしかして、また怪しい悪だくみの準備をしてるんじゃ……。
…ちょっと気になってきたかも。
とりあえず、桃花ちゃんに訊いてみようかな。
そう思って振り返ると、隣の大形くんちの門の前には、大形くんが立っていた。
大形くんちだから、当たり前なんだけど。
ランドセルを背負って、両手にはいつも通り、クマとリスのぬいぐるみ。
「あ、黒鳥さん、だねぇ。おはよう、だねぇ」
大形くんは、あたしに気づいて、リスのぬいぐるみの手を振ってくれた。
「うん、おはよう大形くん」
あたしも挨拶を返す。
「…モモちゃんは、居る?ちょっと話したいことがあるんだけど」
「……そういえば、昨日の夜から見てないねぇ」
大形くんは、可愛く首を傾げて、不思議そうな顔をする。
…桃花ちゃんも昨日の夜からいない?
一体何処に…。
「何か聞いてない?モモちゃんから」
「僕たちは何も知らないねぇ。困ったねぇ」
言葉とは裏腹に、あんまり困ってなさそうな感じで大形くんが言う。
うーん。ギュービッドも昨日からいないし、何か関係あるのかな?
まさかとは思うけど、また魔界で何かあったとか?
「…黒鳥さん、そろそろ学校に向かわないと、走らなきゃいけなくなっちゃうねぇ」
大形くんにそう言われて、あたしは我に返った。
そうそう、まずは学校に行かないと。
「…まあ、とりあえず、行こうか」
「りょーかい、だねぇ」
あたし達は、学校に向かって歩き出した。