二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

その4 (2) ( No.15 )
日時: 2012/06/17 00:19
名前: RE ◆8cVxJAWHAc (ID: A7lopQ1n)

「ふっふーん、そう、あたし、気が利くのぉ!」
うわああ!?
振り返ると、いつのまにか部屋のドアが開いて、メグが立っていた。
え?メグ、玄関の鍵は?掛かってたはずだよね?
ちらっと部屋にいる黒魔女達を見ると、2人とも目をまん丸くして固まっている。
「あー、モモちゃんだぁ!大形くんの妹ちゃんだよね!可愛い!あたしの方がちょっと勝ってるけどね〜」
メグはいつもの調子でニコニコしている。
えーと…。
「メグ、何の用?まだ学校終わってないよね?抜けて来ちゃって良かったの?」
「いいんだよ、三時間目は自習になったからぁ。松岡先生ったらぁ、二時間あのクラスで授業して、心が折れちゃったみたい〜」
うん。ギャグどころか回答指名にも全くと言っていいほど反応無かったからね!あれは誰でも、授業なんてやりたくなくなります。
あたしがうんうん頷いていると、ギュービッドが背後で溜息をつくのが聞こえた。
「チョコ、そんな話はいいから。記憶消すぞ」
後ろからあたしに耳打ちしてくる。そんなこそこそ言わなくても、メグには見えてないのに。
「あ!そうそう!チョコ、あのね!」
うん?
「チョコの後ろにいる、頭良さげな美人さん、だあれ?」
あー、これは、…え?
「…っあ、あたしは、魔界一頭が良くて美人な黒魔女ギュー…あ?」
‘頭良さげな美人さん’に反応したのか、急いで胸を張って自己紹介を始めたギュービッド、あたしと同じく言葉が止まる。
桃花ちゃんもキョトンとしている。
あたしも状況がよく分からないよ。どういうこと?メグ、ギュービッドが見えてるの?
「ギュー…えっと、何?牛丼?わかんないけど、いっかぁ!!」
メグは勝手に納得して、その場でくるくるまわる。ちょっと待って、テンションに付いて行けない…。
「お、おい、ハデハデ女!おまえ、どういうことだっ?おまえにも、インストラクター魔女が付いたのかっ?」
ギュービッドの声が裏返っている。
メグはそれを聞いた途端、ピタッと回るのをやめて、こっちを向いた。
「んふっ、違うよぉ!危ない危ない、用事をわすれるとこだったぁ!」
そう言って、両手を真上に突き出した。
「ルキウゲ・ルキウゲ・ーーー…」
呪文の最後の方は、よく聞き取れなかった。
ただ、メグがいきなり呪文を唱え出したことにびっくりして、一歩後ずさった途端、足元の感覚が無くなった。
背中に感じていたコートの感覚も、一瞬遅れて消える。
そして、ぐにゃんと、視界が、メグの顔が、曲がった。
まるで、笑ってるみたいに。
そのまま、あたしの意識はブラックアウト…。