二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- その6(2) ( No.21 )
- 日時: 2013/08/26 22:57
- 名前: RE ◆8cVxJAWHAc (ID: A7lopQ1n)
☆
はぁ…。疲れた。
前には、ずっとぐねぐね続く赤茶と黒の境い目。
後ろを振り返っても、同じ景色。
あたし、どれ位歩いたんだろう。
あたし体力無いし、景色はつまんないし、終わりがわかんないから…、すごくすごーく歩いた気がするけど、多分、そんなに進んでないんだろうな。
勢いづいて動いたはいいけど、早速心が折れそう。
もうため息しか出てこないよ、はぁ…。
「Excuse me!」
ん?なんか、後ろから声が聞こえたんだけど。
振り返ると、そこにはいつのまにか、カラフルな女の子が立っていた。
身長はあたしよりちょっと高いくらい。金髪に近い黄緑色の髪の毛を、頭の上の方で二つ結びにしてる。服は何かの制服みたいな感じ。黒い上着に、赤チェックのミニスカート。
深くて真っ青で綺麗な目が、あたしをじっと見つめている。
なんていうか、お人形みたいに超可愛い子なんだけど…誰なんだろ。
「Are you a student of the Witch of the Royal School? What are you doing here?」
女の子があたしに、笑顔で話しかけてくる。
えっと、これ、英語かな…?なんて返せばいいんだろ。
あたしが何も言えずに固まっていると、女の子は不思議そうな顔をしたあと、また口を開いた。
「Oh,sorry. …Bonjou… Halo… Alo…こんにちはーー…」
「あっ…こんにちは!日本語なら通じるよ」
あたしが慌てて言うと、女の子はぱっと笑顔になった。
「そっかそっか!日本語なのね!Ok!じゃなかった、わかったわ!こんにちは!」
いや、Okぐらいなら分かるけど。
そんなことより、あたしに何の用?
「別に、用があるって訳じゃないんだけどね。こんな所を1人で黙々と歩いてるから、面白いなーと思って」
何が面白いのかサッパリなんですけど。
どこに行けばいいか分からないから、とりあえず歩いてるだけで。
「あはは!面白い面白いよぉ。こんな所でわざわざ迷子になるなんて、キミ、変わってるね?しかも、そんなふりふりの格好で」
迷子はなりたくてなってるんじゃないし、ふりふりも別に着たくて着てるんじゃないです。
とにかく、知ってるところに出たいんだけど。道を知ってるなら、教えてくれない?
すると、女の子は青い目をぱちくり。
「キミは街に行きたいの?だったらキミが進んでた方向で合ってるよん」
あ、そうなんだ…。
「でもちょっと、遠い遠いのよぉ」
やっぱり。目を凝らしても、進む先には何にも見えないし。
…でも、多分大丈夫。そのうち辿り着くって分かっただけでも結構な支えになるから。
「そうだ、キミ、面白いから、途中まで一緒に行こう?たくさん話したい」
女の子は笑顔でぴょんぴょん跳ねる。黄緑色の細いツインテールも一緒にぴょんぴょん。
面白い、ってのはちょっと納得できないけど、まあいいか。隣に話し相手が居れば、黙々と歩くより、だいぶ気が紛れるし。
「うん、いいよ。一緒に行こう」
「やったあ!」
女の子は笑顔であたしの手を握る。
「ワタシ、キョーカ!日本の漢字にすると、京都のキョウに香るで、京香!」
へえ。なんか綺麗な名前。
「あたしは千代子。チョコって呼んで」
「わかった!チョコ!よろしくね!」
うん。よろしく。
「じゃ、行こう!チョコ!」
キョーカちゃんはあたしの手を引っ張って、早速歩き出す。
わぁ、意外と力、強い。
あたしも慌ててついていく。