二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ONEPIECE -海姫-  建て直し!! ( No.26 )
日時: 2012/03/11 15:32
名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)

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歯車は廻り始めた。また全てを繰り返す。壊れたラジオの様に何度も何度も。何故人は、私は、全てを繰り返す。






「海姫を、渡せ!渡してくれたら…麦わらの一味、お前たちは逃がそう。」


吐き気がする。如何して此処までコイツ等は腐っている。

昨日の楽しかった時間が嘘の様だ。緊迫した空気が、張り詰める。

—海軍。セナを狙う海軍が遂に此処まで来てしまった。また、私のせいで皆が死ぬのだろうか。
冷汗が頬を伝った。


「セナは渡さねえ!帰れお前等!」
ルフィ。
「誰があんたらに渡すもんですか!」
ナミ。
「お、おお前らなんかにせ、セナは渡さねえぞ!」
ウソップ。
「レディを引きかえに、助かるだなんてこたァ…男が腐る!」
サンジ。
「ふふ、…海姫さんは渡せないわ。」
ロビン。
「てめえら命が惜しかったら、…今すぐ去ることを勧めるぜ」
ゾロ。
「セナは、渡さねえぞ!か、帰れお前らあ!」
チョッパー。


皆が、必死に海軍に反論している。襲いかかってくる海軍を蹴散らしている。どんどん皆が傷ついて行く。

私は、弱い。だから皆を守るために、此の世界の罪無き人を救うために。強くなったのに。


「結局、私は…何も守れない。」


短い時間だったけどまだ出会って1日とちょっとしか経ってないけど。
私には十分、皆の温かさが分かる。まだ愛しい人とまではいかないけど、大事、だ。

〝あの子〟に似た船長率いるこの、一味が。


「…待って、ください」


絞り出した声は、思ったより小さくて。


「待って、ください!!!」


やっと出た叫び声に皆が、私に注目する。時が止まったように皆の手が止まる。


「………もう、いいから。私、大人しく捕まります。」
「!!お、おい!セナ!!」
「ク、ククク…。それでいいのだ。さあ来い…海姫。」


それで皆が助かるなら私は喜んでこの身を捧げましょう。
大丈夫。私は死なない。
大丈夫。私は、また皆に会いに行く。


「……また、会いましょう。」
「!!!!」


わかってくれただろうか。私の言葉の意味を。
さようなら、じゃなくて、敢えて、また、という言葉を言ったのを。




.(濃藍の悲しさは全てを呑みこんで)