二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ONEPIECE -海姫-  建て直し!! ( No.30 )
日時: 2012/03/11 15:39
名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)

.



——で、食料を如何するか。


 山は燃えているのだから、勿論食料も燃えている筈。
ならば、如何するか。食料が無ければ、エースが生きていけない。エースは、大食漢だから。
だから、海に潜って食料を取ることにした。其れをハクに頼んで、私は情報収集をしようと町へ足を踏み入れる。町の中でも戦っている奴等が多いが関わっては駄目だ、と見て見ぬふりをした。


「うわあああッ!」


 悲鳴のような叫び声が聞こえてくる。——男の声?
如何したのか、と思って急いで駆け付ける。其処には、男に人質にされている青年の姿が在った。整った顔立ちをしていて、なかなか格好いい。


「おうおう、黙れよ男ォ。妙な真似ししたりしたらこいつの首、飛ぶぜえ?」


何と卑怯な。セナは、舌打ちをして、覇気を放出した。
覇気は、空気に溶け込むように、静かに周りの人を気絶させる。
幸い、青年は倒れていない。——ちゃんと、コントロールできたようで。そう思って、微笑を浮かべた。


「…大丈夫ですか?」
「………!!…あんたが助けてくれたんですか?有難う。おれはクラウドです。」
「私はセナです。宜しくお願いします」


クラウドは、セナを見た瞬間顔を赤らめる。
そしてセナが短く自己紹介すると、クラウドは驚きながらも、また少し顔を赤らめて、「…あんた海姫なんですね」と呟いた。


「御礼におれの店来てください。ご飯は美味しいし、しかも情報屋だから、ウチ。何でも聞いてください」
「…情報屋、ですか…。良いでしょう、行きましょう」
「そう?じゃあ行きましょう」


クラウドは、またにっこりと笑うと、セナの前を歩きはじめる。
セナもそれに着いて行った。





「此処が、おれの店です。…ただいま帰りました、父上!」
「……御邪魔します」


クラウドが入っていったのは、とんでもないところだった。表札には、「ラスディーズ一家」と大きく書かれている。
—ラスディーズとは、世界で上位に入るほどの財閥ではないか。

店自体がとても大きく、ワノ国を思わせるかのような日本風の御屋敷だ。

そういえば、聞いたことがある。
ラスディーズ・クラウド。ラスディーズ財閥の跡取りだという。


「……おお、クラウド。そちらの御方は御客様か?」
「ええ、そうです父上。私を助けて下さったんです。それで礼をと…」
「何と!それは感謝するぞ。そなたの名は何と言う?」
「………セナです。」
「…!海姫か!…おい皆の者!こちらの方に食事を用意するのだ!」


父上、とクラウドに呼ばれた厳つい着物を着ている男は、皆に大きな声で命令をする。
クラウドは性格が変わったかのように男にぺこぺこと頭を下げている。
「おれ」、という一人称も、「私」に変わっている。


「クラウド、そなたも食事を作らぬか!」
「あっ、は、はいッ。すみませぬ!仰せのままに!」
「速く行け!……………ところで、セナ殿。……本当に有難う。クラウドを助けてくれて…。あやつはバカ息子で、弱っちいが……優しい子だろう?」
「…………ええ。」


セナは、笑う。男は、見た目より息子想いの様だ。


「ああ、そうだ。私の自己紹介が遅れてしまったな。私は、ラスディーズ・ハウバード。宜しく頼むぞ」
「…ラスディーズ様、こちらも宜しく頼みます。」

「父上ッ、御食事が出来ましたゆえ持って参りました!」
「おお、それではセナ殿!こちらへ腰をおろして下さいませ」


言われたとおり腰を下ろすと、此の、純和風の屋敷に似合わない、洋食の数々が並んでいた。


「召し上がって下さい!」
「…いただきます」


近くに在ったスープを1口食べる。お野菜が、ふわりと口の中でとろける。

—サンジくんや、サッチさんの料理と同じくらい美味しいかもしれない。


「…おいしいです」
「…!あ、りがとうございます」


クラウドさんが作ったのか。セナが、ふわりと笑みを見せると、クラウドは顔を赤らめて伏せた。
そうしてる間にも、セナはどんどん食べ進め、あっ、と言う間に食べてしまった。
——うん、美味しかった満足だ。セナは「御馳走様」と手を合わすと席を立った。


「…値段はどれくらいですか」
「……っそんな!いらないです!」
「でも、…」
「セナさんは私を助けてくれたじゃないですか…っ」
「大したことはしていません。」
「駄目です!お金はもらえませぬ!」


セナは頑固なクラウドに、「あ、そうだ」と何か閃いた様子を見せる。
そして、自らのポケットから何かを取り出した。
——ペンダントだった。シルバーアクセサリーとは言え、ちょっとしたところに、金やプラチナ、さらには宝石が散りばめられていて、価値が高いことが分かる。


「これを。…私は要らないので。…せめてもの礼です。」
「…あ、りがとうございます…」


クラウドは顔を赤らめてペンダントを手に取る。
セナはそれを見て、ふっと笑うとハウバードに向き直った。


「ああ、そういえば黒ひげを見ていませんか?」
「黒ひげ?…すまぬが見ておらぬな…。情報屋とはいえ、そういった情報は来ておらぬもので…。すまぬな」
「いえ。美味しい食事を有難う御座いました。」


セナは、店を出ていった。
クラウドの顔の赤みは、まだ引かなかった。


(おれ、一目惚れ、したみたいです。)



.