二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ONEPIECE -海姫-  建て直し!! ( No.32 )
日時: 2012/03/11 15:42
名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)

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「お主………クラウドと結婚してくれ」
「……はい?」


それは、世界が赤色に染まり始めた、夕刻の事。先に待っていたクラウドに、手を引かれてまた店に入った。
そして、言われた言葉がこれだ。クラウドは、顔を紅潮させて、少し熱っぽい瞳でセナを見つめる。


「……どういう、ことでしょうか」
「そのままだろう。…クラウドと結婚して欲しいのだよ、きみに」
「何故に…?」
「クラウドはお主を好いておるようだ。それに……お主なら、私も嬉しい。」


ハウバードはにやりと唇をゆがめ、セナを見据えた。



「すみませんが…」
「お主に拒否権は無いぞ。ふふ、こちらは黒ひげの情報を……しかも、とても重要な情報をつかんだのだよ。…教えて欲しくは無いか?」

「…卑怯ですね、流石はハウバード様。でも、無理です」
「ふふ、ふはははは!相も変わらずサバサバした女だ!
 ………だが、此の情報は火拳のためになるのだぞ?」
「…!……っちっ」


エースと行動していることを知られていたか…っ!流石情報界の王といわれる男、—地獄耳のハウバード…!
セナは舌打ちをして、少しハウバードと距離を取る。


「どれだけいわれようとも、私は…ッ!」
「、いいのか…?」
「!!……私は、…私は!!」


次の言葉が出てこない。重要な、情報?
それがあればエースさんは守れるのだろうか。
戦争から逃れられるのだろうか。


〝揺らいでは、駄目。〟


うん。そうだね。揺らいじゃダメだ。私は、エースを守ると決めたのだから。
それが危険な道だとしても。
遠回りだとしても。

にや、と笑う。


「私は……」








「クラウドさんと結婚はできない」
「当たり前だ、誰が結婚させるかよバーカ」



私は、エースの〝隣〟でエースを守ると決めたから。







「何求婚されてんだ馬鹿セナ」
「私は馬鹿じゃありません、エースさん。……覗き見とは趣味が悪いですね」
「なっ、…テメー気づいて…っ」


セナは、にやりと笑ってエースを見る。
気づいていた。エースが覗き見をしていることを。
クラウドは気づいてなかったようで、あんぐりと口を開けている。


「ひ、火拳!貴様、情報が欲しくないのか!?」
「いらねえよ。セナをとられるくらいならな。行くぞ、セナ。」


エースは、ハウバードの誘いをさらりと断ると、セナの手を引いて窓から逃げようとする。
するとクラウドがセナのもう片方の手を引いて、


「待って下さいよ!セナさんっ…!」
「クラウドさん……」
「わたしは……っ、いえ、おれはセナさんが好きなんです…っ!」


——叫んだ。ハウバードの前だというのに、一人称を「おれ」と言いなおすクラウド。
其れほど想いが強いことが良くわかって、セナは悲しそうな顔をする。
エースも——セナを好いてる身なためその気持ちがよくわかるのだろう——顔を顰めた。


「……私に捕われていたら、駄目。忘れて、私を。」

「………ッ!でも、でもっ…本当に、好きなんです…っどうしようもないほどに、泣きたいくらいに…っセナさんと居た時間は、短いけれどそれでも、大好きなんです…」


クラウドさんは、目に涙をためてセナを引きとめる。
セナはさらに悲しそうな顔をすると、柔くクラウドの手を握り返した。


「……私はクラウドさんを、———愛せない」
「………っっ!!?」


ごめんなさい、そう呟いてセナはクラウドの手を解いて、…エースと共に窓から逃げた。


「………っ追え!海姫と、火拳を追えぇぇぇ!」
「…父上………、」
「なんだ!?すぐに海姫はつかまえるぞ!」
「もう、いいです。」
「………何故ゆえに?」


「おれは、〝火拳のエース〟という人には、敵わない」


2人は、恋愛感情ではないけどお互いに大切な人なんだと、痛いほどわかる。(まあエースさんは恋愛感情みたいだけど)

おれはきっと2人の中に入ることはできないから




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