二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   ONEPIECE -海姫-  建て直し!! ( No.43 )
日時: 2012/03/13 12:57
名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)

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 暗闇から、明光へ。
目を開ければ、私の周りには相変わらず屍が落ちていた。
それに驚きもせず、私は立ち上がる。
すると、ふと違和感を感じて足元を見る。そこには水となった自らの足だったもの。

ああ、これがウミウミの実。その、能力。



「……行かなきゃ」



強くなりたい。この能力で、セラ達を助けたい。
セラから渡された刀——水龍を手に取り、鞘をぬいた。
どこまでも青い、刀身。ひやりとしたそれは、まるで今の私の心。
自嘲気味に笑って、歩み始めた。








***








「お、姉ちゃんッ……!来たら駄目だ!」




建設途中である塔の最上階。
セラが叫び狂った。セラの足元には血が広がっている。
その血の持ち主は、——ミル。
ミルが荒く息をしながらセラに寄り添っている。
ぼんやりと焦点の定まらない目には光など映っていない。




「ミル、如何してこんなことに……!」

「僕だよ」




ミルの元へ駆けつけた途端、低く重い声がした。
あのときの、声。私に実を授けた男の、声。





「僕がやったんだ。本当人間は脆くてすぐ壊れちゃうからつまんないな。そう思うでしょ?セナ」
「貴方がやったの……!?貴方が、ミルを…!」
「そうだよ。何か、異議があるみたいだね。」





男はにっこり笑った。気味が悪いほどに口を歪めて。
ミルのわき腹から、大量に血があふれ出してくる。
リルは死んだ。ミルも?ミルも死んでしまうの?
恐ろしくなって、ただミルの名を呼んだ。涙が零れ落ちる。






「セ、ナ姉……泣かな…、いで」
「ミル!しゃべっちゃだめ!こんなところさっさと出てお医者さんに!」
「い、いよ、いらない。あ、たし…どうせ死ぬ、な…ら、セナ姉、が見てくれ…ると、ころで……死にたい…」
「死ぬだなんて…!ミル、駄目!死んじゃ駄目!お願いだから…」






セラが目を伏せながら蹲った。
相変わらず男はにやにや笑ってる。殴りたくなったけど今はミルが先。
涙が止め処なく零れ落ちる。ミルはそれに対して微笑んでいる。
血がドクドクと噴出すのもかまわずに、私の頬に手を添えた。




「セナ、姉……あたしの、こ…とは、も、う、いい…から。逃げ、て?」
「いやよ!私はミルのそばに…!」
「嬉しい、な。そう、いって……もら、えて。あたし、本当……幸せ。けど、ね、セナ姉に…は生き…てて、欲しい。だか、らは、やく、はやく、逃…げて?あたし、セナ姉が生……きててく、れ、たら何も、要らない。」




どうしてそんなこというの?
こぼれる涙も拭わずに、ミルを見つめた。
命のともし火が、弱くなってるのは、医者じゃない私でもわかる。





「ずっと、いえなかった……けど、あたし、セラ、の……こと、好きだった。……もう心残り、はない……よ。セナ姉、セラ。あり、がとう……ありがとう…!!」





ミルの手が、だらりと落ちた。
セラが嗚咽をあげながら泣いている。どうしてなんだろう。
どうして私は何も救えないんだろう。
けれど、にくいのは、あの男。
どうしてミルを殺した?どうしてどうしてどうして…!





「あああああああああああああ゛!!!!殺してやる…ッ!アンタなんて死ねばいいんだ……!!」





歯を食いしばれば、鉄の味がした。
馬鹿みたいに叫び続ける。死ねばいい。オマエなんか、死ねばいい。
水龍を手に取った。体に水を纏い、そのまま海水を男に打ち付ける。
男は海水に包まれてながらもクスクスと笑う。






「効かないよ?」






男はにっこり笑ってこちらを見た。
今度は水龍に海水を纏わせて、男に投げる。
すると、男はクイッと指を曲げた。
そうすると、海水を纏った水龍は———





「がはッ……」





セラを、貫いて、突き刺さった。





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