二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン   題名未定 ( No.15 )
日時: 2012/03/26 16:52
名前: ルリ朱雀& (ID: QhGr5xPX)


7話 声


 小豆は、キャラバンからサッと降りた。

 どうか、雷門があの人を救ってくれるよう祈って…。

 神「小豆。何してるの。」

 小「あっ、神楽さん。」

 神「キャラバンから、出てきた所を見ると…、話したの?」

 小「話してない!ただ、優しいとか、言っただけ。」

 神「そう。」

 神楽は踵をかえして、戻る。
 小豆も、その後を追いかける。

 小「ねぇ、神楽さん。雷門は、救ってくれる?」

 神「それは、雷門しだいよ。」

 ?「何、話してるの。」

 2人は、足をとめ、前方を見た。

 そこには、雷門に運動場の場所を教えた少女がいた。

 小・神「由梨さん。/由梨。」

 由梨と呼ばれた少女は、2人に歩み寄った。

 由「どうやら、2人は私に戻って欲しいか。…否、皆か。」

 2人は、目を逸らす。
 由梨は、キャラバンを見るが、すぐ目を逸らす。

 神「由梨。やらないのか?」

 神楽がそう問いかけると、由梨は腕を握り締めた。

 由「するわけない。私はまだ、つらい。」

 小さな声で言う。

 どうやら、この少女、由梨は、円堂達が探しているMFのようだ。

 由梨は、しばらく無言でいるとどこかに行った。

 神「由梨、貴女は……____。」





 由梨は、2人の所を去ると、あてもなく歩いた。

 由「できるわけない。私はまだ、癒えていない。」


 『由梨。』


 耳をおさえる。
 また、あの声が聞こえる。
 懐かしい、愛しい人の声。

 イヤホンをしても、耳をどう塞いでも聞こえる。

 由「っっ!!」

 慌てて、口をおさえる。
 肩をふるわせ、嗚咽がでるのを必死でおさえる。


 よみがえるのは、あの日の記憶。

 目の前にあるのは、あの人の、背中。
 震える声でよぶ。

 「お…お姉ちゃん?」



 由「っっっ!!」



 秋「貴女、大丈夫?」

 由梨は、慌てて振り返る。

 記憶を掘り返し、雷門のマネージャーと気づく。

 秋「貴女、さっきの…。」

 由梨は、話題を変える。

 由「運動場に着きましたか?」

 秋は、「えぇ。」とこたえる。

 秋「あのときは、ありがとうございます。」

 由梨は、耳をふさぎたいのを必死でおさえる。

 『こわい。声が聞こえそうで…。』

 秋がふと思い出したように言う。

 秋「あの、厚かましいんだけど、MFを知らない?」

 由「へっ?」

 秋「円堂君たちが必死で探してるから。少しでも、何か分かる事ない?」

 由梨は、冷や汗をしずかに拭う。

 由「いえ。何も。」

 秋「ごめんなさいね。こんな事聞いちゃって。」

 由「いえ。」

 そういうが、心ではそう思っていない。

 何も言うな。何も聞くな。と言いたい。

 由「じゃあ。」

 そう言い、逃げるように走る。


 こわい。あの子の心は本当に仲間を思っている。

 あぁ、私はまた、人の心に勝手に踏み込んだ。


 こわい。何も、聞きたくない。