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　10話　知られないように…

　風「でも、名前が分かったのはいいけど、誰か分からないけど…。」

　神「知りたい?」

　「「！！！」」

　いつの間にいたのか、後ろに神楽がいた。

　塔「いつから…。」

　神「知りたい?由梨の事。」

　神楽は、言う。

　円「もちろん。」

　神楽は、ジッと円堂達を見る。

　神「……、じゃあ、君と、貴女と、そちらの方。」

　神楽は、円堂、夏未、秋を指差した。

　神「君達は、由梨の本心が聞けるかな?」

　神楽は、その緋色の瞳を細めて、どこか遠くを見つめる。







　由梨は、美里と別れ、1人、物思いにひたる。



　目を閉じると、今でも鮮明に、あの人の声が聞こえる。

　その、優しい、私と同じ色の瞳で、私に笑いかけてくる。

　あの、優しく、あたたかい手で、私の頭を撫でてくれる。

　優しく、私に笑いかける。

　あぁ、どうして気づかなかったの?

　こんなにも、大好きだったのに。

　逝ってしまった、貴方は。

　私をおいて。




















　　　　　姉さん…………。貴女が、こんなにも、愛しい。

















　神「由梨。」

　神楽の声が耳にはいり、目を開く。

　後ろには、3人の子。

　雷門だ。

　由梨は、微笑する。



　無理だ。私を、いれるなんて。

　私は、まだ、癒えていない。

　まだ、うけいれていない。姉さんが、死んだなんて。

　無理だ。やりたいけど、できない。　やりたくない。






　「何か、用かな?」

　そう、私は本心を隠し、仮面をかぶって答える。

　悲しみを知られないように………。