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　12話　聞きたくない




　神「由梨。もう、いい?」

　そう言うと、由梨は微笑し、

　「好きにすれば…。」

　諦めたように、そう言う。

　神楽は、後ろを振り返り、

　「後は、よろしくね。」

　そして、去っていく。

　神「由梨に…届いて、言葉よ。」

　そう呟いた、神楽の言葉を、秋は聞いた。







　円「ありがとうな。この前は…。」

　円堂は、言う。

　由「どういたしまして。」

　会話がなくなり、円堂は単刀直入に…

　円「なぁ、一緒にサッカーやらないか?」

　円堂の言葉に、由梨はピクッと肩を震わせる。

　円「一緒に、エイリア学園と戦おう!」

　由「……君は、何を言っているんだ?」

　由梨が、口を開く。

　由「私が、何の為に皆に言わせなかったのか。分からないのか?」

　由梨は、肩を震わせ続ける。

　由「私は!!!サッカーを、したくないんだよ!!分からないの?!!!」

　由梨は、辛そうに言う。

　円「何でっ……っっ。」

　円堂が何かを言う前に、夏未が手でさえぎる。






　夏「貴女、何があったの?」

　夏未の言葉に、肩を震わせる。

　夏「どうして、そんなにサッカーをしたくないの?少なからず、理由があるはずよね?」

　夏未の言葉に続き、

　秋「教えて!何か、力になれるかもしれない!!!」

　秋が、必死に言う。

　由「っっ!!………うっ、うるさい!うるさい!!私の事、何も知らないくせに!」

　由梨は、叫んだ。

　秋「知らないよ!何も!だから、教えて欲しいのよ!!」

　由「っっっつ!!!!」

　由梨の目が、怯えだす。










　「知らないよ！何も！だから、教えて欲しいのよ!!」


　『何か、この子の力になりたい…!!』



　「っっっつ!!!!」

　息をのむ。

　また、聞こえる。

　やめて!!
　何も、言わないで。
　私は、何も聞きたくない。
　また、また勝手に、踏み込んでしまう。

　やめて!!!!!






　いきなり、由梨がしゃがむ。

　秋「由梨さん?」

　由「…めて。やめて。」

　秋「大丈…「来ないで!!!」…由梨さん?」

　由「やめて。私は、何も、聞きたくないの!!」

　由梨は、耳を手で塞ぐ。

　由「やめて。何も、聞きたくない。聞きたくないの!!」





　耳を塞ぐ。それでも、聞こえる。

　やめて。

　頭が割れるほどに、痛い。

　必死に、喉から出そうな悲鳴を抑える。


　やめて。私は何も、聞きたくない…。