二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【星のカービィ】月のアルティンクル ( No.3 )
日時: 2012/03/22 12:02
名前: ざう ◆9/FLiib5HA (ID: ELEtmaFx)



 朝、鳥の鳴き声が聴こえ、瞑っているはずの目に少し眩しさを覚え、目を開いたかと思うと、目に太陽の光が入ってきて、再び目を瞑る。もう一度開けると、目の前には見慣れない家の天井が広がっていた。
 すぐに起き上がれば、自分には見慣れない家の中だった。辺りをよく見渡すと、少し小さめな家だと分かった。そしてその傍らには自分の相方が寝ている。

「サン、起きて」
「…………」

 “アル”という少女は、“サン”という少年を起こすように揺さぶる。しかし、よだれをたらしながら眠っており、起きる気配はない。
 かとおもうと、アルは突然サンの顔面を叩いた。するとサンは驚いたようにアルを見る。叩かれた頬を手で押さえながら呆然としていた。

「いきなりなんだよ……って、ここどこだ?」
「んーどこだろー……私たち誘拐されたのかな?」
「いや……誘拐するならこんな家に連れてこないんじゃ……」

 アルは自分の横にあった窓の外を見つめる。緑の木々や花のある美しい自然の中で立っているこの家に誘拐される方が不思議な気がした。
 その時、突然家の扉が開いき、二人は心臓が飛び出そうなほどに驚いた。扉の先には、見たこともない“生物”がいた。

「…………!?」

 二人は目を丸くした。その扉にいたのは、丸い形をしたピンク色の体としか説明しようがない、とにかく二人には見たことのない生き物がいたのだ。
 そのピンクボールの生き物は、両手にスーパーの袋を持ち、目をぱちぱちさせながらこちらを見ると、ニッコリとほほ笑んだ。

「あ、元気みたいだね!」
「しゃ、シャベッタアアア!?」

 ピンクボールの生き物が喋ったので、ふたりは同時に奇声を上げた。ピンクボールの生き物は不思議な顔で「ぽよ?」と言いながら二人をじっと見つめた。



「えーっと……スミマセンでした……」
「ううん、平気だよ。それより本当に大丈夫?」

 話を聞いたところ、ピンクボールの生き物は二人森の中で偶然見つけ、ボロボロの姿だったため救出をしたらしい。二人はピンクボールの用意したお茶を飲みながら何度も礼をした。

「でも、どうやって俺達を運んだんだ?」

 ピンクボールの生き物は、大きさは小さい。アルとサンは幼いが人間であるため、体重は何キロもあるはずなのに、小さな体でここまで運んできたとは思えなかった。
 その疑問を持ったサンは、ピンクボールの生き物にそう問いかけると、ニッコリと笑顔でこう言った。

「ワープスターっていうのがあるんだ」
「ワープスター……って? 移動する星?」
「その通り。まぁ、二人も乗ってたから結構操作は大変だったんだけどね」

 ピンクボールの生き物はサラッとそう言うが、二人にとってはものすごく偉大に感じてしまい、何度も頭を下げた。
 するとピンクボールの生き物はあっ、と言うと、自己紹介を始めた。

「僕、カービィっていうんだ。君達の名前は……?

 カービィ。彼はそう名乗った。これが二人とカービィの出会いである。

「私はアル、こっちはサン」
「いや、俺自分で自己紹介しようとしたんだけど……」

 二人のやりとりに、カービィも笑顔になる。
 その時、カービィは何かを思い出したかのように二人に問いかける。

「君達ってどこからきたの?」
「えーっと、まず私たちはロケットに乗って…………、ん? ロケット……?」

 カービィのその質問にアルは答えようとしたが、途中であれ?と何かを思い出したかと思うと、あー!!と大きな声を上げ、すぐにその場に立ちあがった。

「ロケット忘れてたー!!」
「っあー!! そうだロケットー!!」

 アルの言葉で、サンもロケットのことを思い出し、その場に立ちあがり、二人ともロケットを探しに家を出ようとすると、待って、とカービィに止められた。

「二人とも、森の場所は分からないよね?」
「…………ワカラナイデス」

 そういえば、と二人とも早とちりで自分達が分かりもしない場所に向かおうとしていた。
 カービィは、案内してあげるよ、というと、どこからかいくつかの小さな星が集まり、それがたちまち大きな星となった。これがさっきカービィの言った“ワープスター”だ。

「これがワープスター?」
「そう。落ちないように、しっかり捕まってて!」
「あ、うん……って、何処に!?」
「いくよー!!」

 ワープスターは、捕まるというより、体のバランスを保つという方が正しいというほどで、しかもとんでもない速さで動いていた。

「ぎゃああああああああ!!!」

 カービィはすぐにワープスターのスピードを上げる。乗り慣れたカービィはそうでもないが、ロケットに乗る二人でもそのスピードは恐ろしいもので、奇声を上げながら三人は空の中を突き抜けて行った。