二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【星のカービィ】月のアルティンクル ( No.4 )
- 日時: 2012/03/22 15:04
- 名前: ざう ◆9/FLiib5HA (ID: ELEtmaFx)
2
ワープスターは青空を駆け抜けて行く。アルとサンは乗りなれたのか、どの辺の上空を飛んでいるのか確認するため、見下ろしてみると、たくさんの人がにぎわい、たくさんの店の並ぶ街であろう場所だった。
「二人とも、高い所は大丈夫なの?」
「まーね、ロケットに乗るくらいだしー」
「そうだな」
アルとサンは幼いが、ロケットを含め様々な操作や操縦を得意とする。二人のすむ国では、年齢に関係なく才能があれば資格をとることができる為、二人はロケットで旅をしていたのだ。
しかし今回、なんらかの事故で墜落をし、ここ、“プププランド”にたどり着いたのだ。
プププランドのことについて、カービィからは少ししか説明を受けてないが、とても自然が多く良い所だということを教えてくれた。それの通り、緑の多いとても平和な国だということが見るだけで分かった。
そうしているうちに、森が見えてきた。ワープスターのスピードは更に上昇していく。
「よし、あの木に激突するから気をつけて!」
「分かった! …………ん? 激突?」
カービィは森の中で周りより大きい木を示しながらその木に向かって行く。二人がカービィの激突という言葉の意味を理解したのは、大きい木に近づいたその時だった。
大きな音を立て、三人は壁に激突し、ワープスターは壊れ、小さな星となり、たちまち消えて行った。三人はそのまま平行に地面に落ちて行った。
「…………いっ、痛い……」
「……ご、ごめんね。ワープスターは何かにぶつからないと壊せなくってさ……」
ワープスターを操ることは出来るのだが、ワープスターから降りるには、何かしら障害物にぶつからなければ壊すことができないらしい。
カービィはそう言うと、二人はぽかんとしながら上を見上げた。大きな木には、たくさんの林檎が実っているのが見えた。真っ赤な色で、アルは食欲がそそられていた。
「お、美味しそう……」
「何言ってんだ、お前。そんなことよりロケットを……」
アルはよだれをたらしながらそういう。元々ここにきたのはロケットを探すためであって、林檎を食べに来たわけではない。サンは真面目に先へ行こうとする。
ガサガサと木が揺れる。すると木に生えていた林檎が上からいくつか落ちてきた。アルはとっさに林檎に向かって突っ走る。
「林檎だー!!」
「林檎だーじゃねーよ! …………ん?」
アルは落ちてきた林檎に真っ先に向かい、林檎を食べる。サンがアルにツッコミを入れ、林檎の生っている木を見上げる。すると、木の幹に顔のような穴があり、サンは驚いた。
「か、顔だー!!」
「んー? あれ、ただの穴じゃないの?」
「……あれは……!」
サンの言葉に、アルは林檎を食べながら冷静に答える。ただの穴にしか見えないが、それがカービィには見覚えのあるものだった。
大きな木は、再び木を揺らし、今度は林檎ではなく毛虫を落としてきた。林檎を呑気に食べていたアルも驚いた。
「あれは……ウィスピーウッズ!」
「ウィスピーウッズ?」
アルは林檎を食べながら落ちてくる毛虫をかわして、林檎を回収し再び食べながら木を見上げる。先ほどの顔のような穴は、本当に顔のようで、木は三人を睨みつけているようだった。
ウィスピーウッズという木は今度はカービィに向かって空気弾を放つ。カービィは空気弾を身軽によけていくが、なかなか攻撃の隙がない。
「とりあえず逃げるよ、二人とも!」
カービィは二人の前を走り誘導する。ウィスピーウッズはまだ怒っているようだが、二人は誘導するカービィの後を着いて行った。
「あーびっくりした……」
サンは息を切らしながらそう言う。ウィスピーウッズは動けないらしく、すぐ走るだけでもなんとかなった。
三人は深い森の中をしばらく歩いていく。すると、アルとサンは同時にあっ、というと、すぐに森の中を走った。
森の中の、大きな切り株のある少し広い所へ出る。切り株のすぐ傍には、かつて二人が乗っていたロケットがあった。
「ロケットだ!」
「……うわぁ、こりゃ酷いな」
ロケットとの再開にアルは感動するも、そのロケットはもはやボロボロで、原形は留めていたもののもはや動きそうな気配はなく、周りのあちこちにはパーツが落ちていたり、ロケットからは軽く煙が出ていた。
「んー困ったなぁ……」
「そうだな、これじゃ旅の続きは無理か……」
二人はボロボロになったロケットの前で落ち込んだ。
二人は旅人で、あちこちの星を巡っている途中だった。ポップスターに来る予定なんてなかったし、このままでは故郷へ帰ることも出来ない。
カービィは二人の様子を見て、そうだ、と何かを思いついたように二人に何かを言おうとする。
「二人とも————」
————と、その時、カービィの上から何かが落ちてきた。林檎だ。上を見上げると、先ほどはなかったはずの所に木が生えていた。
「…………!!」
「どうした、カービィ……!?」
サンは後ろを振り向くと、カービィは目を見開いて生えている木を見る。サンは疑問に思いながらその木に近づくと、急に木に顔が出てきた。
「うえっ……さっきの木!?」
アルはどうしたの、という顔で後ろを振り向くと、アルも二人と同じく驚きを隠せなかった。
なぜならそこには先ほどの木————ウィスピーウッズがいたのだから。