二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【星のカービィ】月のアルティンクル ( No.5 )
日時: 2012/03/22 20:23
名前: ざう ◆9/FLiib5HA (ID: ELEtmaFx)



 二人はおかしいと思った。普通の木は動けないはずだ。それにさっきまでウィスピーウッズは二人のことを追ってきてはいなかった。なぜ今ここにいるのか、わからなかった。

「なんで木が動くの……!?」
「……前に動いたことがあるんだよ……」

 カービィの話では、以前ウィスピーウッズと戦った時、カービィを追いかけるために動いたことがあるらしい。それだけでなく、このウィスピーウッズはいつも違う場所にいるため、知らないうちに動いていると思われるらしい。
 動く木なんて聞いたことがなく、二人は顔を青ざめながら呆然としていた。

「!!」

 今度は逃がさない、とでもいうかのようにウィスピーウッズは今度は口から竜巻を出す。いきなりの攻撃に、カービィはかわすものの、二人はまともに攻撃をくらい、地面に叩きつけられた。

「痛たたた……」

 アルは後頭部を抑える。ウィスピーウッズは先ほどよりかなり攻撃的になっていた。このままではどうすることも出来ない。
 カービィは辺りを見渡す。何か使える物はないかと探している。すると、ロケットの近くの物に目が行った。

「これだ!」
「! カービィ……?」

 カービィは壊れたロケットの一部分の欠片のようなものを見つけると、小さかった口は大きくなり、たちまちそれを吸いこんでしまった。

「ちょ、ちょっとカービィ!?」
「なにやってんだ!?」

 二人はカービィの取った行動に驚いた。そして、吸い込むだけではなく、それをカービィは飲みこんでしまった。
 ただでさえロケットの物は危険で、今カービィが飲み込んだものも勿論危険だ。飲み込んだら怪我をしてしまう。二人がそう思ったその時、カービィの体が光のようなものに包まれていった。

「カッター!!」

 次に二人がカービィを見た時、カービィの姿が変わっていた。頭には目のついた黄色い帽子を被り、手にはブーメランのようなものを持っている。
 物を吸いこんで、飲み込む。この動作をしただけなのに、カービィの姿は変わってしまった。二人は何が起こっているのか理解できなかった。
 ウィスピーウッズは更に怒り、三人に向かって毛虫を落としてくる。するとカービィは毛虫に向かってブーメランを投げ、毛虫にあてると、毛虫はバタバタと倒れた。

「…………」

 二人は口を開けながら呆然としていた。開いた口が塞がらないというのはこのことかもしれない。
 ウィスピーウッズに焦りが見える。カービィは戻ってきたブーメランをしっかりと取り、すばやくウィスピーウッズの目の前に来てブーメランを構える。

「カッター滅多切り!!」

 カービィはブーメランを自由自在に扱いウィスピーウッズに連続攻撃する。
 ウィスピーウッズも耐えられなくなったのか、大きな音を立てるとウィスピーウッズは目から涙を流し、もう動けない状態になった。

「大丈夫、二人とも?」
「…………あっ、うん……」

 カービィの言葉で二人は我に返った。カービィは元の姿に戻ると、先ほどの装備は星となりやがて消えた。

「そういえば、二人にはまだ言ってなかったね。……ボクはね、物を吸いこんで飲み込むことで“コピー”をすることが出来るんだ」
「コピー能力ぅ?」


 ————三人は、すぐそばの大きな切り株に座っていた。

「コピー能力っていうのは、物を吸いこんで飲み込むと使えることがあって、様々な技を使うことが出来るんだ」
「へー……」

 カービィの説明に納得しつつも、二人はとんでもない方に出会ってしまったような気持ちだった。
 結局、ロケットはどうすることも出来ないことがわかった。修理とはいえ、作りなおしにもなるかもしれない。それに何日、何ヶ月、何年と時間をかけなければならない。

「しばらくここで生活することになるのかぁ……」

 二人はう〜んと考え込む。ここで生活していくとはいえ、まず住む場所を探さなければならない。それを探すのにも何日と時間がかかるかもしれない。
 二人の困る様子に、カービィは先ほど言おうとしてたことを思い出した。

「ねぇねぇ、アル、サン」
「んー、どーしたの?」
「こことは別の方角の森にね、空き家があるんだけど……そこに行ってみない?」

 二人は、カービィの言っているこことは反対方向の森に向かった。カービィの後を着いてしばらく歩いて行くと、別の森についた。先ほどの森より、少し薄暗い怪しい雰囲気があった。
 怪しい森の奥をさらに超えて行くと、森の中なのに日当たりのよい、小さいが花畑のある広場のような所に出た。花畑の中央には、二階建ての、なかなかの広さの家が建っていた。
 家の中に入ると、埃っぽくて二人は咳をするが、空き家とは思えないほど綺麗で、家具もそのままであった。

「これ本当に空き家なの?」
「ちょっと埃っぽいが……家具も充実しているし、生活していくのに全然不便じゃないな」
「何ヶ月か前にね、ここを見つけたんだ。ここはあまり人気がなくてね、この花もほとんど萎れていたから、時々ここにきて花の世話をしてたんだ」

 けれど家の掃除までは手をつけてなく、埃だらけだった。でも、少し掃除をすればすぐよくなるくらいだった。
 二人は、ここの家に住むことに決めた。そして、花の世話も二人に任された。ロケットのある森からは遠いが、家が見つかっただけ良いと二人は判断した。
 その後二人はカービィと別れた。家は、住むと行ってもまず掃除をしなくてはならない。二人はまず家の中にある掃除用具を使い、家の掃除を始めた。