二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:   無 題  【銀魂】 ( No.3 )
日時: 2012/03/27 09:12
名前: いろは ◆LUdEVzdrco (ID: w0.JbTZT)

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 くっそ、いてーなチクショー。
そんな悠長なことを考えながら瞼を開いた。
そこには、わたしを轢いたトラックもアスファルトの道路もなく。


その代わりにわたしは何故か、便座に座っていた。





01 第一印象でその人の見方が変わる





「ぇえええぇえぇ!!」


吃驚してわたしは思わず大声で叫んだ。
ちょ、待って。わたし確か田舎から上京する途中、交差点でトラックに轢かれたんですけど。え、何で生きてんのわたし。つーか何で便座なんだよ!

勢い良く便座から立ち上がり、トイレから出る。此のトイレは男子トイレだった。
何たる不覚。わたしみたいなレディーが男子トイレに入っちまうとは。


それより此処は何処なんだろう。よく見れば大きな和風な豪邸ではないか。門と思われるそこには黒い隊服を着た男が見張りをして……

……ん?隊服?


「ちょ、え。真選組なのか?そうなのか!?」


その隊服は目を擦っても頭を壁に打ち付けても、わたしが愛読していたジャンプの漫画の一つ、銀魂の真選組のものだ。
てことはわたし、トリップしたのだろうか。轢かれた衝撃で銀魂の世界へ☆……イヤイヤイヤねーよ。きっとあの人はコスプレした人たちで……。


「オイ。てめェ何してる」


拝啓、母上父上憎たらしい兄上。わたし、死んだわ。




  ***




取調室のようなところに連れてくるなり、わたしを睨みつけるのは、どっからどうみても土方十四郎だ。無愛想でクールなイケメンウハウハのフェイス。開いた瞳孔。中井和哉さまの低音ボイス。あと煙草とマヨネーズ型のライター。あとついでに刀。

——……嘘だろ。マジで土方十四郎?


「——で、てめェの名前は?」
「え、え?あ、はい。片倉翼です。翼ちゃんって呼んでくれていいですよー」


来たァアアアァ!ごっさ睨みつけられたァアアァ!
おそらくわたしの顔は真っ青だろう。トラディショナル・ベタ(青い淡水魚)も吃驚なくらい真っ青だろう。
土方さんはなおもわたしを睨み続けるのでとりあえずスライディングしながら土下座した。


「何であそこに居た?門からは見張りがいて入れねェはずだが」
「知りませんよ!なんかあそこに居たんです。いやいや睨まないでェエエェ!マジ!マジですからァアアァ!」
「チッ……。うるせェ女だ。」


うるさい女にさせたのはアンタだろーが!とは言えずに黙り込む。
だってマジなのに!!聞き分け悪いな!だからそんなにイケメンなんだよクソ。え?悪口になってない?てへぺろ!


「もう一回聞くぞ。何であそこに居た?」
「だァかァらァ!知りませんっつってんでしょーが!わたしトラックに轢かれて、ああ死んだなとか思ってたら何時の間にかあそこに来てたんです!」
「てめェ……頭イカれてんのか?精神病院連れてってやろーか」


お前を連れてってやろーか。むしろ棺桶につっこんでやろーか。
めっちゃ殺意わくんですけど!こんなに殺意がわいたの初めてだよ!いや違うか。父ちゃんと洗濯物いっしょにしやがった母ちゃんに殺意わいたのが最初か。

そんなことを悶々と考えているとバサッと丸めた資料で頭をはたかれた。


「いったァ!何すんですか!ぶっ殺しますよ!」
「へェ。いい度胸じゃねェか、不法侵入容疑で逮捕されてる分際で」
「……だから違うつってんでしょー!本当聞き分け悪いですね!一回死んで来いバカヤロー!」
「…………」


あ。やっちまった…!土方さんに暴言吐くなんて!
マジで死んだわ。まだモテ期来てないのになー。もっとウハウハしたかったぜチクショウ!
悔しげにハンカチを噛むフリをしながら、今までの思い出を思い浮かべた。

帰りたいなあ。今母ちゃんと父ちゃんと憎たらしい兄ちゃんはどーしてるんだろう。
帰りたいなあ。何でわたしがここに来ちゃったんだろう。


「てめ、何泣いてんだ気持ちわりーな!」
「き、気持ち悪いってなんですかァ!」


いつのまにか目から液体がでてきていた。やだなあ。恥ずかしい。
ぐすぐすと鼻を啜ると、頭に暖かい感触がした。なんだこれ。


「……わ、悪かったな。」
「…………!!」


つ、ツンデレ来たァアアァ!
頭の感触は土方さんの手のひらだった。頬をほんのり染めてわたしの頭を無造作に撫でている。
くう!これが話題のツンデレか!まさか土方がツンデレ属性だとは…!わたしも取得しなければ!


いつのまにか、涙はとまっていた。



——
いったんきり。gdgdすぎて泣ける