二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケスペ〜炎天パラメータ〜 ( No.18 )
- 日時: 2012/04/02 19:17
- 名前: 周波数3.3 (ID: cA.2PgLu)
第八話
「此処……どこ? 」
こてん、と首を傾げて可愛く言ってみるも、ノイズとクオンには冷たい目で見られるし、反応はかえってこないし虚しいしで、……うーん、虚しいです。
オツキミ山を周りを歩いてハナダシティに行こうとおもっていたのに、気づけば明らかに違う場所に出ていた。…てへぺろ? それに、なんか雲行きは怪しくなってくるし……、なんか最悪だ。まあ、最悪なんて言ううちは最悪じゃないとかいうけど、だって最悪なんだもん。
「……ん? なんか手に冷たいものが……、って雪!? カントーで雪は珍しいなぁ」
手に冷たいなにかがついて、最初は雨かと思ったのに、雪だったみたいだ。しかも、よく見たら大粒の雪。勢いも強くなってきて、この様子じゃあすぐに積もってきそう。
「まー、いいかな。雪って珍しいし。……デインとか嬉しくて走り回るんじゃないのかな」
「きゅう? (あのデインが? そんなバカな、キャラじゃないって)」
「きゅるるる! (ないない! あのデインがそんなことするわけないって! )」
……、2匹に全力で否定された、気がする。
正直、雪なんて怖くない。だって私は天下無敵の炎ポケモン使い!……ってのは嘘だけど、まあ炎ポケモン達がいるからね。もふもふがいるしね。あったかしね。
「でも……、なんか最初よりかなり強くなってきてる。やむ気配もなさそう…………」
なんだか嫌な予感がする。その直感を頭の隅にいれて、迷子に加えて雪で見えづらくなった視界の中、歩き続けた。
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「うわぁ……、やばい。何にも見えない……。風も強いかた雪が……。
ノイズ、お前は小さいから飛ばされそうで怖い。ボールに入っておいて」
もう辺り一面は雪が積もっていて、視界も悪い。おまけに風が強いときたらもう最悪。小さなノイズをボールに入れて、出来るだけクオンと離れないようにくっついて歩く。
やばい、これは早くどこか暖をとれるところで休まないと。私はまだ大丈夫だけど、クオンが心配だ。
「……ねえ、クオン。大丈夫? 」
「きゅうぅ……」
さっきまで元気に返事をしていたのに、今では小さく震えた声のクオン。ボールに入るように言っても、中々入ろうとしない。いつでもそうなんだ、この子は。いつも責任感が強くて、守ろうとしてくれて、私は助けられてばかりだった。……、私はペットだとは思っていないけど、やっぱりポケモンって主人に似るんだね。
「あ……! クオン、あれ、小屋じゃないかな? ひとまずあそこで休もう」
幸いにも、少し歩けば薄っすらとだけど小屋のようなものが見えてくる。クオンに向かって微笑めば、クオンも少しだけ笑ってくれた。小屋に近づくと、小屋とは別のモノが、目に映った。
「ほら、クオンは先に入ってて。……うん、蒔きはあるね。__クオン、大人しくなってるんだよ。私は少し用事ができた。……すぐに戻ってくるから」
ばたん、と強めに小屋の扉を閉める。
小屋の他に見えたもの、それは人影で。見えた時、すぐにでも助けに行くべきだったんだろうけど、私の中での優先順位はあくまでクオン達であって。
吹雪の中、膝下くらいまで積もった雪の上を歩き人影の元までくると、それは薄手の格好で倒れている美少女だった。年は私と同じくらい。ああ、でもあの時こんな美少女だと知っていても、私はクオン達を優先したんだろうな。
「ちょっとごめんね」と、呟くようにいって、美少女を横抱きにする。おお、柔らか…………、すいません。体温はかなり下がっているみたいで、このまま放っておいたら本当に死んでいたかもしれない。
小屋まで運んで扉を開ければ、クオンが心配そうな表情で(目尻に涙が少し溜まってた、可愛い……)こちらを見ていた。私の姿を捉えると、足に擦り寄ってきて。
「心配させちゃってごめんね。でも、この子を放っておけなかったもんだからさ」
「くうん…………」
「取り敢えず蒔きで火を……、っと、もうついてる……。ああ、もう。お前は私には勿体無いくらい優しくて賢い子だよ……」
頭をそっと数回撫でてあげると、気持ちよさそうに目を細める。そして、茶色の髪の女の子を見る。
「さて、今はいち早くこの子を温めてあげないとね。……んっしょ、っと。よし、これでいいかな。クオン、この子のそばにいて、温めてあげて」
女の子を抱き上げ、暖炉の近くまで移動させて、小屋にあった毛布をかけてあげる。クオンにはそばにいるように言うと、再度外にでようとドアノブに手をかける。それをクオンがどこにいくの、とでも言いたげに一鳴き。
「うーん……、いやね、その子の荷物、まだ外にあるんだよ。だから取りに……」
「きゅー! きゅう、きゅう! 」
「……クオンさん、なんか物凄く怒ってます? あはは、大丈夫だって。俺はそこら辺のか弱い女じゃないんだかr 「きゅう!! 」……さーせん」
んー、クオンさんの鳴き声を訳すると多分こんな感じ。最初が、
「なに無茶なこといってるの! 外は猛吹雪だ、馬鹿! 」
後が、
「ぐだぐだ言うな! 」
……、うん。こんな感じ。うちのクオンさんはたまに口が悪いんだ、許してあげて。
「でもね、クオンさん。もし荷物がこの子にとって大切なものだったらどうするの? この吹雪で飛ばされるかもしれないんだよ。俺、女の子の悲しそうな顔も、怒った顔も見たかねーんだよな」
「きゅ……、きゅう」
「ん? 」
ふと見せた少し憂いを帯びた表情。それを見てクオンも少しだけ悲しいそうにする。だけどすぐに元に戻って、アケビのボールホルダーをちょいちょい、とする。
なんだろ……。……あ、あぁ!
「誰かを連れてけって? 」
「きゅう」
「うーん……、わかった。サトリ、ついてきてくれるか? 」
ボールから出たサトリはこくりと体全体で頷いて、俺についてきてくれる。ふわふわ浮いているサトリは、ノイズと違って吹き飛ばされる気配がまるでなかった。
小屋に残ったクオンは、少女の側に座り、考える。
"それなら、私のことも考えてよ。女の子だけじゃなくて、アケビのことが大好きな私、……いや、私達のことも"
ねえ、アケビ。アケビが女の子を大切にするように、女の子だけじゃなくて困っている人を放っておけないように、私達もアケビが大切で、放っておけないんだよ。
いつもは勘がいいくせに……、____バカアケビ。
あとがき
今回はちょっとポケモンとアケビちゃんの関係というか、まあポケモンというかクオンの心境がかけて嬉しかったなー。てかクオンさんとノイズ口悪いw
さて、女の子って誰だろ、……オリキャラ?