二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: inzmGO【音は1つになり、空へはばたく】 ( No.113 )
日時: 2012/05/10 23:10
名前: 風風 (ID: tCmJsotq)




  「先輩なんて、だいっきらいです...」

夕方の教室。
教室の外には2-5と掘ってある看板が、あった。
もうすぐ部活が始まるため、すでに生徒たちは居ないはずの教室に、青髪の少年が1人俯き加減でぽつんと立っていた

少年以外には誰もおらず、教室に夕日が差し込むと、少年の寂しそうな背中を暖かく照らしていた。

少年が見ていたのは、1つの机。
彼は、名残惜しいそうに、その1つの机で人差し指を-ツゥ...-と滑らす。

 「なんで、約束したのに...先輩は...


少年は、悲しげな声で先輩という人をせめる
だが、少年の声は余りにも小さ過ぎて、外にいる運動部の元気な声に掻き消されてしまっていた。


 「おれ...一日中待ってたんですよ...」

少年の瞳には、少量の涙が溜まり、あと少しで見詰めている机に落ちそうだった。










       −それは、49日前のある夏の出来事−


その日は、沢山の大粒な雨が灰色の空から降り注いでいた。
青髪の少年はその大粒な雨を透明なビニール傘で防いでいるのを、暇つぶしとして、静かに眺めている。

ふと、左腕にしてあるシンプルで小さめの時計を見ると-14時50分-と、アナログな時計で差し、雨で音は消されているが、止まらずに秒針が規則的に動いていた。

現在の時刻をみると、少年は小さくため息をつき、イライラとした表情で灰色の空を見詰めた。

 「おいおい...待ち合わせは13時のはずなのに...2時間も待たせる気かよ...」

再び空を見上げても、灰色である空の表情はかわらなかった。


その日、17時になっても19時にもなっても、少年が待っていた人は来なく、辺りが暗くなり、そびえ立つビルなどは次々と明かりを点していった。

だが、その頃には少年の姿はなく、少年が立っていたところは、もうすでに多くの人たちが踏み潰していた。










 「なんで、せんぱいが....」

少年が気付くと、その2つの瞳から-ボロボロ-と大粒の涙はこぼれ落ちていた

まさに、あの日の雨を思い出すかのように


 「今日は早いな狩屋...」

 「神童さん...」

突然の声で驚いた狩屋と言う少年は、茶髪で朱い瞳をした少年を神童と呼んだ。

神童の手には白い花瓶に、一輪の花が挿してありその花瓶を何もいわずに、狩屋が涙を流した机に置くと-コトン-と小さな音がなった。

 「まだ嘘にしか思えません...」

 「あぁ。」

 「あのとき、俺が先輩を迎えに行っていたら...」









それは、あのことからしばらく日だった。

いつも通りの朝のHR(ホームルーム)が始まるかと思いきや、いつもは陽気な先生がその日は、少しちがう真剣で悲しげな顔だった。

 「知ってる人は居るかもしれないが、先日通り魔事件があったと言ったろ? その事件で2年5組の霧野蘭丸さんが、被害にあい、その日死去が確認された。」

そんな重大なことが言われると、教室は一瞬でざわめいた。

同じサッカー部の空野葵は“うそ...”と呟き眉をよせ、悲しむ
松風天馬と西園信介は目を真ん丸に見開き、言葉を発しない。

一方の狩屋は先生がなんと言ったのか理解ができなかった。


  『霧野さんが、通り魔の被害に?』

その疑問が頭の中に渦巻き、ついには霧野が死んだという、重大な答えが現れた。

死んだとわかると、狩屋の頭には複雑な気持ちが次々と出て来た。

  『事件は、俺と霧野さんがお出かけをする予定の日だったはず...。
もしかして、俺のところへ行こうとした時に...』
そんな罪悪感が次々と狩屋に襲い掛かっていた。


最後には

  「そんなの嘘だ!!!」
なんて、訳のわからない事を叫び、屋上へ駆け上がっていた。










 「お前は自分を責めすぎだ。これはそうなる運命だったんだ。
運命は誰にも変えられることなんて出来ないんだ。」

 「でも、俺が誘わなかったら!!.....俺が、先輩を誘わなかったら、先輩が外に出ることはなくて」

 「いつまでも、引きずるな!お前のせいなんかじゃない!霧野だって、自分を追い込む狩屋を見たくないだろう。」

大切な親友を失った悲しみで泣きそうな顔でも、神童はハッキリと狩屋の目をみる。
まだ涙が出つづける狩屋は、そんな神童の表情をみて、制服の裾で涙を拭う。

 「神童さん...本当ですか?」

 「あぁ、本当だ」

その一言は狩屋にとってかなりの大きなスイッチであり、狩屋の目頭が異様なほど熱くなる。
神童が大きく腕を広げると、その胸板に小さな頭を狩屋は埋めた。
そのときだけは、狩屋は何故か神童の事を霧野だと感じ“霧野せんぱい”と小さく呟いていた。


そんなとき、2人の間に突如強風が襲った。
教室のカーテンが-バサバサ-と揺れ、窓が前後に-バンバン-と打ち付けた。

突然の風で思わず2人は窓をみる。
すると、前から2番目の大きな窓に

         彼の姿が映っていた。

 「霧野先輩!」 「霧野!!」

一瞬、気のせいかと思ったが、やはり窓にはピンク色の髪がくっきりと映り、穏やかな表情を浮かべていた。
とっさの反射神経で2人は霧野に近づく。

霧野は変わらない穏やかな表情で、ぼそぼそと何かを呟いていた。
だが、そのときには声が小さ過ぎたため、何を言ったのかわからない間々、2度目の強風で霧野の姿は消えていた。

今度のは、先程のとは比べものにならないほどの強風で、視界が歪む2人は思わず目を強くつぶる

だが、その瞬間に
    頭の中に1つの言葉が浮かんで来ていた。

風が止むと、2人の瞳からは大量の涙が溢れだし、花瓶が置いてある机を変色させていた。


 「お、おかしいですね...なんか、先輩の声が突然聞こえてきましたよ」

狩屋は口元だけを微笑ませ、

 「あぁ、俺も 変だよな俺たち」

神童は鼻をすすらせながら呟く。

2人の少年は小さく笑顔をみせながら

茜色に染まりつつある放課後の空を見詰めていた....




     《今でも、その気持ちは変わらない    大好きだ》




  「今日って霧野さんの四十九日だったんですね」

  「時間が経つのは、あっという間だな」








        少年たちは、その日の事を忘れないだろう



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なんだろう

マサ→(蘭) 拓マサ

拓マサ→(蘭)
って感じでしょうか


相変わらずの駄作です
最近、短編が異様に長いですねw