二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: inzmGO《その心から喜びを》 ( No.227 )
日時: 2012/08/22 06:55
名前: 風風 (ID: 0M.9FvYj)



  −ありがとう−

 そんなたった1言の簡単な言葉。
 でも、使うのは何か照れ臭くて、思わず口ごもってしまう。

  −ごめんなさい−

 そんなたった1言だけど使うには難しい言葉。
 だって1言、言葉を使っただけで、相手には大きな印象を与えてしまうから。

  −言葉なんて、一度使っただけで相手に深く印象を与えてしまう。−

 暗く、明かりの灯らない部屋で、水色の髪を持つ少年は、自分の小さな布団に潜りながら暗闇で身を丸めていた。
 少年は、暗闇の中で祈るように、両手を組み合わせ、静かに呼吸を繰り返していた。

  −所詮、世の中は嘘だらけだ。本当のことなんて、一握りも無いだろうね−

 少年は全てに諦めたような瞳で両手を見つめる。
その時には、両手を組むのをやめて、静かに手の平をぼーと見つめていた。
 少年の右手に置いてあったのは、1つのネックレスで、真ん中に小さな白い石1つがはまっているシンプルな形たった。

  −所詮、人間は嘘つきだ。私利私欲の為に相手を利用する。それが当たり前なんだ。−

 もう一度、少年は両手で手を組む。だが、今度のは自分の気持ちを押し込むようなそんな感じがしていた。

 すると、布団の中にいくつもの光が瞬いた。
その光は、緑や青などの色のついた光りで、暗闇に慣れすぎていた少年の瞳には強すぎるのだ。
あまりの明るさに目を深くつぶりながら光から目を逸らした。

 だが、その光はいつまでも続く光ではなく、数秒で光は消えていた。

  -ったく...こんな時間にメールって、迷惑だよ本当に-

 こんな時間と言っても、今は夕方の5時頃。強いて言うならば夕ご飯の時間だが、少年は夕ご飯なんて食べてはいない。
   では何故?
問題は時間ではなかったのだ。ただの少年の気持ちの問題だろう。

少々荒い手使いで先程、発光した物を取ると、勢いよく、そのふたのような物を上に上げた。

-パカ-と少し情けないふたを開ける音がすると、先程よりも強い光が狩屋の瞳を襲う。

 今だに光っているそれの、中に写っていたのは、《新着メール1件》の一言で、そんなことかと
少年は、つまらなそうにため息を一つついた。

新着メール1件という、画面を確認し、メールボックスをみると、そのメールの贈り主の欄には《霧野先輩》という文字がかかれていた。

メールはどうやら、今流行りの《SMS(ショートメールサービス)》というやらのようで、贈り主の下には直で本文が読めるようになっていた。

 メールの内容は簡単だった『今からお前の家に行ってもいいか?』
それだけの、短い文だった。
 それだけかよ...
そう思う狩屋であったが、直ぐに『べつにいいですけど』
と無愛想な言葉を打ち込み、送信ボタンをおす。

 何気ない、いつも通りの動作だが、それだけで自分の考えが送られてしまう。
強いていうのであれば、書き方次第では、相手に不快な思いをさせてしまう、言葉。
 もう少し、書いとけば良かったかな
と後々後悔してしまっても、数字は1%から徐々に100%に近づいてきて、後戻りなど出来なくなっていた。




 『悪いな、こんな時間に』

先程、メールを送ってきた、ピンク色の髪をした霧野蘭丸は、狩屋の家。いや、施設の玄関に入るなり、狩屋の目の前で謝罪をしていた。

 謝るんならくるんじゃねーよ

霧野が言った言葉に少し怒りを感じたのか、狩屋は心の中でそう呟く。
 なぜなら、実際に声に出したら怒られるどころじゃすまない、だろうと感じたのだ。

 「んで、先輩はなんでこんな夕飯時に来たんですか?
  俺への嫌がらせですか?」

 『いや、そんなつもりじゃないが、お前、今日部活休んだ、だろう。だから
  さぼりじゃないかとみにきただけだ。』

 本当は嘘だけどな...

霧野は、此処へきた理由をあえて言わず、嘘の言葉を並べていった。
 霧野だって本当は心配しているのだろう。
さぼりなんて、そんなわけないと分かっているだろう。

 「ふーん...先輩はいつから俺の監視役になったんですよ、お節介です。目障りです、うざったいです。」

 先輩が来るのが悪い...
霧野の本当の気持ちに微妙に気づかない狩屋は次々と悪口をのべてゆく。
 これは、狩屋なりの甘えなのか
そんなことは、わからないが、霧野は狩屋が今さっき言った言葉は、嘘だと直感的に感じ、
何も言わずに、黙り込んでいた。

 『おいおい、うざったいは言い過ぎだろう
  いくら俺だからって、先輩と後輩の立場は弁えろよ』

 「いいじゃないですか、いつも下らないことで怒って
  精神年齢、俺より下じゃないんですか?」

 そろそろ先輩もキレるかな?

少し言い過ぎたと、感じたのか、先程までそっぽを向いて話していた狩屋は霧野の方を向きなおした。

すると、霧野の頬には一筋の涙が流れていた。
その涙をみて驚いた狩屋は、
 「ちょ、先輩なに泣いてるんですか!」
と、少し焦った声を出し、霧野へ近寄った。
あと、少しで鼻がつくぐらいの距離になると、
霧野が突然、悪魔のような笑みをみせ
 『ばーか、嘘泣きだよ、そんぐらい気づけよ、猫被り』
と、狩屋の目の前で呟いた。


 「先輩って本当に最悪っすよね、悪逆非道霧野蘭丸。」

 『おいおい、変なニックネームつけるなよ
  そんな、こと言ったら、お前は極悪非道だろ』

 「せんぱい、可愛い後輩にそんなこと言っていいんですかぁ
  また、意地悪しちゃいますよー」

正面に向いたまんま、2人はお互いに悪口を叩きあう。
だが、どこか楽しそうで、嬉しそうな2人。
気付くと、2人は笑顔で悪口をたたきあっていた。

 『おれ、狩屋はそんなこともうしないって知ってるぞ』

 「へぇ、なんですか?」

 『お前が、俺のこと、好きだからな』

 「はっ!?馬鹿じゃないですか、先輩!!!」

耳まで真っ赤にした狩屋は冷静を取り戻そうとするが、上手くできず、
狩屋の部屋には、霧野の笑い声が響いた——



 言葉だけじゃ上手く伝わらなくても
実際にみて、聞いて...
 顔と心の目と耳を使えば
相手のことが、段々とわかってくる。


          《悪逆と極悪な言葉と思い》


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素敵な、誕生日プレゼント小説ありがとうございました!!
これからも、のんびりとカキコにて生活していきますので、よろしくお願いいたします。

とても分かりにくい小説となってしまいました。
なので、次に解釈をしていきます。暇な方は見てください。