二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【短編集】True liar【inzm】オリキャラ募集中! ( No.42 )
- 日時: 2012/04/14 20:52
- 名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
- 参照: 高校始まって忙しい……
「Family」
episode 2 「町の噂」
ウィレイバス国の西側、ソレル地区。その第12番街「アルテ」。
そこは、海に面しており、水産物を売ることが町の収入減になっている、同時に医療も進んでいる、この国の中ではかなり発達した街だ。
数年前までは『ビブリスファミリー』の傘下である『キベレファミリー』の領地だったその街は、今となっては『フィロメラファミリー』の本拠地になっていた。
町の者たちは活気にあふれた人ばかり、治安もこの国の中で一二を争うような、そんな街には、今ある噂が広まっていた。
* * *
「近々、『レルベットファミリー』が攻め込んでくるんじゃないかって」
レイナのその言葉に書類に目を通していたヒョウカの目がレイナに向けられた。
『レルベットファミリー』
最近、勢力を広げてきたファミリーだ。
武力行使の実力主義。強い奴らだけを集めたような部隊を使って、数ヶ月前に14、15、16番街を主な領地にしていた「ルバーズファミリー」を壊滅させた、そんな奴ら。
何のためにそんな小さな奴らがここを狙うのだろうか。
真っすぐな、何もかもを見透かしてしまいそうな瞳を向けられつつ、レイナが話を続ける。
「町で噂になっているんだそうです。ハルナから聞きました」
「何でそんな不穏な噂が?根拠もないでしょ。他のファミリーが入れ込んだだけなんじゃない?」
ヒョウカはそう言うとまた書類に目を落とす。その様子にレイナは大きな溜息をつく。全くこの人はと言わんばかりに。
理由の、根拠のないものを信じないことはヒョウカの、癖のようなものだ。何か理由が無ければ、この人は動かない。こうやって仕事をしているのは、街の者たちを護るため。そう言う理由があってやっているのだ。だが、たまにはそう言うものなしで動いてみないといけないと、レイナは思う。
さっきの溜息はそういつも伝えているのにヒョウカが聞く耳を持たないせいだ。
「まあ、ハルナがそれをレイナに言ったっていうのは気になるね」
唐突に、書類に目を落としたまま呟かれたその言葉にレイナが目を見開く。
「なんか、嫌な予感もあったし。一応調べさせようか」
そう言って書類に印を押し、机に置かれた書類の山に置いてからヒョウカは電話を取り、何の迷いもない様子で情報部の内戦の番号を押した。
いつも言っていたのが、少しは聞いたのだろうかとレイナが自嘲じみた笑みを浮かべた時、
ノックもなしに部屋の扉が大きな音を立てて開いた。