二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【短編集】True liar【inzm】オリキャラ募集中! ( No.61 )
日時: 2012/04/26 22:13
名前: 海穹 (ID: fQORg6cj)
参照: specパロ書く!!同時進行していく!!



「Family」

episode 5  「シクザール」





はあ、と深い溜息が部屋の静寂を破った。その溜息の主はヒョウカである。



マモル達が帰ってから小一時間。フィロメラ内の空気は、最悪、と言ってもいい状況になっていた。もちろんその原因はマモル達、エレクトラファミリーのもとに届いた差出人不明の謎の手紙だ。


「ボス、取り敢えず『シクザール』の各部隊の隊長には、この事を伝えます。よろしいですよね?」

ユウトの改まった声に、ヒョウカは小さくため息をついてからああと力なく答えた。珍しいほどの弱りようだな、とユウトは珍しいものを見る目でヒョウカを見た。
さっきと比べて、明らかに疲れている表情、視線。その上顔色も悪いと言った始末だ。とても一代で大ファミリーを作り上げた女頭領とは思えない。

「そのような姿では、ファミリー皆が心配いたします。『革命女帝』の名が泣きますよ?」

「……好きでそんな二つ名をつけたんじゃない。他の奴らが勝手につけたんだろうが」

ヒョウカはそう吐き捨て革の椅子から立ち上がった。
その顔は何処かふっきれたような感じがしないでもない。というか、ふっきれたのだろう。目に力が籠っていた。

「『シクザール』の隊長をここに呼べ。私から直接言う。あの手紙のコピーも持ってこい!!」

やはりふっきれたらしい。声にも彼女らしい凛々しさが戻っていた。
ユウトは少し嬉しそうに微笑んだ後、すぐに、と言い残し部屋から出て行った。




         * * *




それからシクザールの隊長が集められたのは十数分後だった。

シクザールはフィロメラファミリーの様々な中枢を担う部隊の総称だ。
隊は情報部隊、戦闘部隊、救護部隊、管理部隊の4つを基本としている。その部隊別で他にも様々な部や隊があるのだが、今呼ばれたのはその4つの部隊の隊長だ。

情報部隊の隊長、ハルナ・アルケステ。戦闘部隊の隊長、ユウト・アルケステ。救護部隊の隊長、シュウ・プリムノ。管理部隊の隊長、リア・ルジーナ。

フィロメラファミリーの中心となっている4人がそろう、珍しい状況がそこには広がっていた。


「今日は急に呼んですまない、特にシュウとリア」

そう言ってヒョウカは二人を見た。救護部隊の隊長、シュウはお気になさらないでください、と丁寧に返す。リアもいえ、と短く返した。はっきり言って、このフィロメラの中でヒョウカを信頼していない人などいないから、いつ呼んだって誰も文句も不満も無いに決まっているのだが。しかし、それでもこうやって部下を気にするのがヒョウカが信頼される所以でもあるのだろう。


「じゃあ、話に入らせてもらうぞ。4人とも知っていると思うが今日の午前中に、レルベットファミリーをエレクトラファミリーが襲撃し、壊滅させた」

あくまでも淡々とヒョウカはそう言葉を紡いだ。
4人ともその話に驚いた様子も見せないところから、もうとうに知っているのだろう。まあ、ユウトとハルナは当然だが。

「その理由を聞きたくて、エレクトラをここに呼んだんだが、エレクトラがその理由として見せたのが、これだ」

ヒョウカはそう言ってレイナから手紙のコピーを受け取り、4人の前に突き出した。

その手紙を見て、リアとシュウの顔色が変わった。明らかに驚いた表情。それは当然だ。ヒョウカですら、その手紙を見て顔色を変えた。その謎の手紙はそれほどのことが書いてあるのだ。




それには、こう活字で書かれていた。






       我々は、ウ二タスの意志を継ぐものである。


  我々は、彼らの意志に基づき、この国を統一する。


       彼らの崇高なる意志に反する者たちは、我々がすべて排除する。


    彼らに盃を    彼らに花を


       そして我々に、この国のすべてを—————